-- 赤アメジスト --

両の唇を琥珀の煙管にまわりに閉ざし、紫水晶の胸当ての上に顎ひげを押しつけ、絹沓のなかで趾をいらだたしげにのけ反らせながら、フビライ汗は目ばたきもせずにマルコ・ポーロの報告に聞き入っていた。憂鬱の気が彼の心の上に重く立ちこめる夕べであった。「そちの申す都など存在せぬ。恐らくはただの一度も存在したことなどはなかったのだ。」(カルヴィーノ『見えない都市』)