-- 虫入りコパル --

向かい風は矢羽のように、または尖った玻璃のように、ぼくたちの頬をかすめてゆく。風向計の旗のように、うしろへなびくミシエルの髪。麦秋の輝く琥珀と同じ色あい。彼の髪からほとばしる粒子は、ぼくの瞳に蜜色の表皮をつくる。ミシエルの影像(すがた)は、群青の夜天を背景にして、まるでそこだけ切り抜いたように浮かびあがった。