-- 虫入り琥珀 --

ぼくの目にも耳にも、きっちりと光の琥珀が染みこんでしまった。世界は琥珀の中に閉じこめられてしまった。その時、また風が吹いてきた。風が琥珀を風化させ粉々の乾いた砂粒にして運び去る。億年の時間が目の前を速まわしで通過していく。音のない琥珀の海の底から、ぼくは時間を見上げていた。(寮美千子『ノスタルギガンテス』)