-- 緑水晶 --

暗い地下道にも信号燈(シグナル)があり、そのほか非常燈や方向洋燈(ランプ)など、ぽつぽつと点っている。漆黒ながら湿り気の漂う闇に滲む光は、緑柱石(ベリル)、黄玉(トパーズ)、赤柘榴と様々だ。それは深海に棲む魚の、奇妙に輝く斑のようでもあり、銅貨は地下鉄の窓を覗き込むたびに水族館(アクアリウム)か、潜水艇の内部にいる気分を味わった。(長野まゆみ『天体議会』)