-- 魚眼石 --

雨垂れが窓にゼラチンのような粒を散らす。「魚の眼みたいだ。」誰かがつぶやくと、少年たちはほんとうにたくさんの魚の眼に見つけられているような気がした。曇りがちの空。霧雨にけむる景色は乳白の海の底なのかもしれない。(中略)「魚の眼みたいな石もあるんだよ。」魚眼石という。紺野先生は石を皆に見せた。背の低い角張った結晶が密に集まっていた。(長野まゆみ『夏帽子』)