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★2月16日★ ★アーシュラ・K・ル・グィン『言の葉の樹』を読了。タイトルに惹かれて手に取った本。原題の「The Telling」に比べてオーバーな感じがするが、言葉としては好き。ブッキッシュ人間としていろいろ感じることがあったりして面白い小説だったのだが、ハイニッシュ・ユニヴァースシリーズの中の一冊なのにいきなりこれから読み出したので話しの設定がよくわからない部分があった。せめて『闇の左手』を読んでからこちらを読んだ方が流れとしては適切だったろう。今度『闇の左手』も読んでみるつもり。 ★2月17日★ ★少し先の話しですが、そろそろカウンタが一万を越えそうです。本当はキリ番プレゼント企画をしようと思っていたのですが、予定より早く2月中に一万を越えてしまいそうです。最初に計算した時は三月半ばのはずだったのですが、最近カウンタ回りが早くなったので予定が狂ってしまいました。キリ番プレゼントは前々からやりたいと思っていたのですが、2月は忙しくてどうしても手が放せないので一万のキリ番企画は見送ることにしました。本当に申し訳ありません。その分サイト開設4周年企画のプレゼントを豪華にするつもりなので、こちらに期待していただければと思います。最近ははじめましてメールやリンクのお知らせを相次いでいただいたのでそれがアクセス数が増えた理由かな、などと思っています。こうして私がちまちま作っているサイトをいろいろな方に見ていただけるのは本当にうれしいことです。インターネットやホームページは便利だし面白いツールなので、これからも積極的に活用していこうと思っています。メールも2回目以降劇的に(苦笑)返信が遅くなりますが、何かご意見・ご感想などありましたら気軽に送ってくださいね。 今日は予定が立て込んでもうへろへろです。帰ってきたら頭痛と喉の痛みがひどいし、慌てて風邪薬を飲みました。他にも日記に書きたいことがあるのですが、今日はとりあえずもう寝ます。こんな時期に風邪なんてひいて体調を崩したら身の破滅です。 ★2月18日★ ★ドナルド・E・クヌース 『コンピュータ科学者がめったに語らないこと』はMITでの6回連続の講演がベースになっている。話題の中心はクヌースが1990年に出版した「3:16」について。聖書の各文書の3章16節に焦点を絞り論じた本だという。私はこの本は未読だし現在の段階では宗教に関して深い関心を抱いているわけではないので、何やら面白いことをやっているなという程度の読み方をしてしまった。そのうち気になってくればまた読み返せばいい。それが本のよいところだから。今の段階で私が一番興味を持ったのは4回目の講義「美学」。33ページに載っている美しいポスターは59の節のカリグラフィーと、3:16のロゴより構成される6×10のマトリックス(これはクヌースの言葉)より構成されている。これが大変美しくて見惚れていたのだが、これに関しての詳しい解説が4回目の講義でなされている。一つ一つのアートワークについて詳細な解説をつけながら、クヌースはカリグラフィーを紹介していく。本に収録する59の節を世界トップクラスのカリグラフィー書家に描いてもらったとのことだが、その一つ一つが素晴らしく、並べられるとただもう美しい。クヌースが出来上がったアートワークがあまりに感動的だったので、独り占めにしてはいけないと展覧会を行ったのも頷ける(ちなみに現在はサンフランシスコ公共図書館の永久所蔵品となっているとのこと)。 第四回目の講義を読んでいてもクヌースの完璧主義者ぶりが節々で垣間見えて面白い。クヌースの完璧主義者ぶりは、こと美学に関することだと普段以上に発揮されているように思える。そもそもアートワークに仕上げられた59の節はすべてクヌースが自分自身で聖書の原典から翻訳したのだ。59の節だけだし語彙も少ないし、よい資料もあるしということで取りかかったらしいが、実際にやってしまうところがすごい。資料の一つとしてジェームス・ストロングによる聖書中のすべての単語の相互参照を行っている1800ページ以上の膨大な著作を挙げている。そしてクヌースの言葉「1970年代、この本を最初に目にしたときは、とにかく購入せずにいられませんでした。完璧なものが好きな性分なのだと思います。」(p56)ちなみにスタンフォード大学内のクヌースのホームページはこちら。私は英語を読むのがあまり得意ではないのでこうして自分のメモ用にリンクをはっているだけだが、そのうち気が向いたらコンテンツにも目を通してみようと思っている。 以下、私的覚え書き。カリグラフィー→美しい書物→写本文化について。以前書物について調べていた時、ヨーロッパにおける写本文化について少し読んだのだが、このあたりは興味の範疇外だったので今はもうすっかり頭から抜け落ちてしまった。リュシアン・フェーブル&アンリ=ジャン・マルタンの『書物の出現』をはじめ、香内三郎『活字文化の誕生』、あとは宮下志朗の本などを読み直すと面白いかも。美しい文字といえば、私はフォントが好き。興味を持ったらなんでも自分でやりたくなるのが私の性格なので、そのうち技術が追い付けばフォント製作などにも取り組み出すと思う。 ★2月19日★ ★大野晋・上野健爾『学力があぶない』(岩波新書) あとは英語教育についての見解はちょっと違うと思う。「おまけに、いまのインターネットの時代は、コンピュータの上に出てくるのは話しことばではなく文章です。そうすると、私たちに必要な英語教育としては、英会話よりはむしろ英語の文章を読むことと、もうひとつは簡単な手紙などを英語で書ける必要があるから、読み書きがほんとうは大事なのではないか」(p205)というのが上野氏の発言なのだけど、これはどうなの?読み書きはもちろん大事だけど、それは今の英語教育ではかなり重点的にやられているのではないの?私は学校ろくに行ってないので、よくわからないが。私の英語の師匠である同居人は文法完璧・読み書き完璧だが、英語は何一つ話すことができない。私からすれば読み書き能力は羨ましい限りなのだが、本人は「日本型英語教育の弊害。読み書きが多少不自由でも、喋れた方がいいに決まってる」と言っている。 教育問題は複雑だし私はこの分野に関してはかなり無知なので間違ったことを言っているかもしれない。だがとりあえず自分なりの感想をメモしておくことにする。私としては多少収穫があったし学力低下に関してはよくまとまっていたのでまあ読んでよかったなと思っているのだが、アマゾンのカスタマーレビューではひどい言われ様で笑ってしまった。でも指摘は間違っていない。いろいろ書いてしまったが個人的には上野氏には興味を持ったので、機会があれば他の本も探して読んでみようと思っている。上野氏は教育学者ではなく専門はあくまで数学。昔から教育に関心があるとのことで、教育関連の執筆も行っているらしい。対談はともかく、学力低下などの指摘は興味深かった。 ★2月20日★ ★「pen」 特集:
2004年度版「これは、欲しい」 ★2月21日★ ★現在『ジョナサンと宇宙クジラ』を読んでいます。ロバート・F・ヤングの短編集です。よいという評判は何度も耳にしていたのですが、ずっと読みそびれていました。まだ半分ぐらいしか読んでいませんが、甘さのある作風はとても好みです。読んだなかでは「ジョナサンと宇宙クジラ」が圧倒的に好き。残り半分を読むのが楽しみです。もう一冊読了本がありますが、その感想はまた明日にでも。 ★2月22日★ ★コートが邪魔なくらいぽかぽかした陽気の日曜日、展覧会を二つ見てきました。まず最初は青木画廊にて江本創展「幻獣標本博物記」。奇妙な幻獣たちの標本が並ぶ写真を見て興味を持ち、画廊へ足を運びました。一歩画廊へ足を踏み入れると木箱がたくさん並び、その中には採集され干涸びたオブジェとなった幻獣たちの標本が展示されていました。それは科学史の闇へ葬られたあやしきものへの憧れをかき立てられるような標本でした。ここではプリニウスの博物誌などに通じる奇妙な博物学が展開され、標本の前に立つ人々を現実と虚構の間で惑わせます。標本、架空の博物学等に興味のある方には大変面白い展覧会だと思います。28日まで開催とのことです。私は今日の記念に、出版されたばかりの『幻獣標本博物記』(パロル舎)を購入しました。これからゆっくり目を通してみるつもりです。江本創氏のホームページはこちら。余談ですが、一通り見終わってから名前を記帳したら私の次に名前を書いていたのが須永朝彦さんでした。 次に銀座から東京駅まで歩き、大丸で開催されている「没後20年 中原淳一展」を見ました。いざ会場に足を踏み入れると、とんでもない人混みが待ち受けていました。予想以上に高齢の方が多く、若い頃・幼い頃にひまわりやそれいゆを読んで育った世代が懐かしがって来場していることが伺えました。私のような若い世代は本当にごく一部でした。今の乙女ブームからして、もう少し若い世代が来ているのかと思ったのですが…。私自身は子供の頃は異様に目が大きい中原淳一の絵は嫌いで、むしろ気持ち悪いと思っていました。ですがある程度の年齢になり中原淳一の世界の素晴らしさを実感し、そうした評価は自分の中で覆されました。今回の展示は本当に充実していて、淳一好きなら必見です。挿絵ばかりではなく人形やドレスが展示され、淳一が提案したインテリアが再現されるという充実ぶりでした。挿絵も今まで細々とは見ていたのですが、こうして一堂に集められると淳一の仕事ぶりに驚かされます。中原淳一が生涯を通じて指し示した美しさを心に刻み込むことができた展覧会でした。期間は24日までともう残りわずかですが、時間に余裕のある方はぜひどうぞ。おすすめの展覧会です。会場を出た後は資料として図録を買いました。私自身は絵は描けないから、真似したくなるのはデザインやレタリングなどです。こうした少女世界を創ることができたら楽しいでしょうね。いつか、機会があれば取り組んでみたいものです。 私の中にある理科少年の心と乙女世界を愛する心、二つを満足させることができて大変充実した休日でした。他にも見逃したくない展覧会がいくつかあるので、また週末にでもギャラリー巡りをするつもりです。 ★2月23日★ ★読了本 大竹昭子『アスファルトの犬』(住まいの図書館出版局)。私は大竹昭子が好きで本を集めているのだが、こんな本が出ているとは知らなかった。先日図書館で見かけてびっくりして借りてきた。かなり初期の本で、さまざまな雑誌に載せたエッセイなどを寄せ集めた一冊。大竹昭子はすごく好きだが、雑誌の文章があまり本にまとまってくれないのが悲しい。いい仕事してると思うのに…。雑誌をチェックするほどマメではないし、かといってあまり本にまとまらないし、ファンとしてはつらいところ。 どーでもいい話し。今週のジャンプのDEATH NOTEのLの正体がすごいよ…。てっきりまた美形だろうと思って全然興味持ってなかったのだけど、こういうタイプだったとは。小畑さん、負けましたわ。見事に予想の斜め上を突っ走ってます。目の部分以外は全部読者に晒されていて美形確定と思っていたのだけど、今週の目ですべてが覆されてしまった。恐ろしや。 ★2月24日★ ★野又穫 野又穫の描く空想建築、それはとても巨大で、静かな力に満ちていました。ありえない形をした建築が、どこか近未来的で金属の匂いのする建物が、自然の中にひっそりとそびえ立っています。それは人間のためではなく、空や風のため、永遠に生成しつづける未完の建造物。そうこれは、オブジェとしての建築。リアルだけど決してありえない、空想建築。 はじめて見ることができた野又穫の世界は、私の想像通り素晴らしいものでした。ただ塗りや線が予想より荒かったのにはややがっかりしました。あれだけ大きなキャンバスに塗っていくのだし、写真やCGではないのでこうした質感は仕方がないのだと思います。ですが今まで印刷で見ていた雰囲気の方が緻密に感じられたかもとどこかで思ってしまいました。これは、マグリットの絵が本物より印刷された画集の方が好きという気持ちにやや似ているかもしれません。というより作品の印象からもっと人工的な質感を想像していたのに、それが思いのほかアナログ的でとまどっているというのが適切ないい方かもしれません。作品のパワーとしては、もちろん本物が素晴らしい。だけど実際の絵を前にすると、質感がちょっと気になる。私はCGのような作風を求めていたのだろうか…と帰りながら自問自答してしまいました。 それはともかくめでたく作品集を買い求め、家に帰ってきてから眺めていました。これは本当によいです。6千円とやや高めですが、野又穫好きなら買って損はありません。ページをめくるごとに立ち現われる建築に、建築のある風景に、すっかり見入ってます。最後の方に載っている今までの仕事を眺めていて気付いたのですが、NODA・MAPの「オイル」のポスターは野又穫だったのですね。私はこのポスターに一目惚れしてオイルを見に行ったのですが(野田秀樹はすごい人なのだろうけど、私はどうも好みではありませんでした)、それが野又穫によるものだということに今まで気付いていませんでした。言われてみればまさに野又穫なのだけど、ついうっかり見逃していたようです。 ★2月25日★ ★最近周辺がバタバタしていて、なんとなく落ち着かない毎日です。早く終わって欲しいなという気持ちでいっぱい。そんな中本を読んだり出歩いたり、たまに石を買ったりしながら暮らしています。最近手に入れた石は水晶と蛍石。この頃はこの2種類しか買っていない気がする…。特に面白いのが水晶。なんでこんなにたくさん種類があるのだろう。買っても買っても終わりはない。今回手に入れた水晶はモロッコ産で、母石をインクルージョンしているちょっと変わったもの。傷もあるしどちらかといえば土をイメージする石だし、私の普段の好みとはちょっとずれています。でもなんだか気に入ってしまったので購入しました。手持ちのコレクションを早く紹介したいのですが、コンテンツ製作が進んでいません。毎日ちょっとずつ取り組んでいるのですが、凝り性で気に入らないといつまでもやり直すので、素材が全然出来上がりません。そろそろ妥協するべきかしら。 ★2月26日★ ★北海道土産の手作りカマンベールチーズを何気なく食べたら、とろりとした柔らかさ、なめらかさに夢中になってしまった。今度帰った時には手作りチーズをまとめ買いしてこなければ。思えば北海道は乳製品が充実していた。乳製品大好きな私にとって、東京に出てきて一番不自由したのはおいしい乳製品にありつけないこと。最近はさすがに慣れたけど、いつもスーパーで買う安売りの牛乳はおいしくない…。 そういえばアフタヌーンで新海誠のアニメ「ほしのこえ」を漫画化したものの連載がはじまったのだけど、これはどうなんだろう…。漫画化する意味はあるのだろうか。ちらっと読んだけど私はこれだったらアニメの方がずっとよいように思えた。自分の中での評価はかなり微妙。 読書はしているけれど勉強がらみのものなので今日は読書日記はお休みです。 ★2月27日★ ★昨日の鉱物コーナーの試作品、やっぱり気に入らなくてやり直すことにしましたので削除してしまいました。ベースはあんな感じで、もう少し配色と細部を練り込もうと思っています。見れなかった方、すみません。なるべく早いうちに鉱物コーナーをオープンできるよう努力します。高平哲郎『ぼくたちの70年代』(晶文社)を読了。ぱっと表紙を見て70年代全般を扱っている本なのかと思ったら、高平哲郎周辺の人脈図という感じの内容だった。 ★2月28日★ ★現在ものすごい勢いで新コンテンツを作っています。ですので一見こちらが動かないように見えるかもしれませんが、水面下では着々と作業が進んでいます。でもまた面倒なことをやり出したため、余計時間がかかってしまう。昨日はある目的のために部屋中の本をひっぱり出してきて調べていました。押し入れにしまってある本まで床にぶちまけたので、部屋がもう大変なことに。なんでこんな面倒なことをやってしまったのだろうと内心思うのですが、結構楽しんで調べています。調べものはとても一日では終わらなくて、本を片付けるまであと数日はかかりそうです。 きくち正太の『きりきり亭のぶら雲先生』を8巻まで読了。1巻の2、3話を読んでつまらないと思って放り出していたのだが、読んでみたらその後から面白くなっていたので結局8巻まで一気読み。基本パターンは『おせん』と一緒で、和食や骨董をストーリーにからめて美意識を追求するという内容。私はろりももちゃんと幽庵がお気に入り。ろりももはかわいい。幽庵は生意気さ加減とその目利きぶり、さらにろりももに弱いところがおかしい。名前忘れたけど、魚屋の女の子もいい味出していたっけ。それにしてもぶら雲先生のばあさん、イメージはほとんど白州正子だよなあ…。 ★2月29日★ ★まだ月末という感覚ではないのですが、2月は短いので今日で終わりなのですね。明日からはもう3月。心がざわめきます。 改訂版の図鑑が出来上がったので、その目次を少々公開。スクリーンショットをスライスしましたので、リンク等は切れています。こちらからどうぞ。(恐れ入りますがブラウザの戻るでお戻りください)。第1巻は私の超初期コレクションを収録していて、長野作品にまつわる石、耳猫風信社で購入した石がメインになっています。この鉱物図鑑はものすごくファイル数が多くて、100ページくらい作らないといけないのですよ(一つの石に2ページ使っているため)。いつになったら作業が終わるのかな(遠い目)。 谷山由紀『天夢航海』(朝日ソノラマ文庫)を読了。何気なく手に取った本だけど、これがすごくよかった。夢見がちな人たちに贈りたい現実を見据えたファンタジー。この本の感想はのちほどしっかり書きます。今日はとりあえず読了メモだけ。谷山由紀の本は3冊出ているが、これも含めてすべて絶版。古本屋・ブックオフ等で探さなければ。 |
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