10月19日

空白の八月、恢復の九月。長い夏休みはようやく終了です。このまま<永遠の夏休み>に突入するかと思われていたNEW ATLANTISですが、またぼちぼち更新を復活させていきます。お待ち下さっていた少数のみなさま、大変お待たせいたしました。過去のことはもう書けそうにないので、これからまた日々のことを綴ったり、コンテンツを更新していこうと思っています。ものすごく高いテンションではないものの、ふとまた中身を更新したい気分がうっすらと高まっていたりするので、ゆるやかなペースではあるものの日記以外のコンテンツにも動きがあるかもしれません。

とりあえずはまず、今日のことを。ここ最近忙しくてさぼっていた古書市に久々に出かける。ぐろりや会では趣味の本を中心によいものをいろいろと買えたので満足。以下は購入本の一部。

・サトウハチロー『抒情詩集 爪色の雨』文禮社、昭和22年
大正15年に出版された『爪色の雨』(金星堂)はサトウハチローの処女詩集。以後再販されることなかった本が、二十年以上も経ってようやく再販されたという。私が購入したのは、再販本。可憐な本で即決。これからは抒情詩集をもっと集めていきたいと思う。

・荒俣宏『ファンタスティスダズン10 バロック科学の驚異』リブロポート
ようやく7冊目。この巻を持っていなかったことに自分でも驚いてしまった。ファンタスティスダズンは一応コンプリートを目指しているが、かといって意識的に集めているわけではないので、最近収集が遅々として進まなかった。こうして古書市で出会えたのだから、今後も古本屋でもう少し気をつけて探してみることにしよう。

・『宇宙 そのひろがりをしろう』加古里子ぶん/え 福音館 1978年
素晴らしい本。特に地球を飛び出して以降、宇宙に出てからの部分が好き。子供用であっても変なファンタジーやフィクションを入れることなく、素直で透徹した眼差しでこの世界と宇宙のことを教えるその視線と語り口がよい。

他にもモダンなデザインが素敵な数学の本、中井英夫の本などを購入。自分の選んだ本を見ると、科学と幻想と少女趣味という非常にわかりやすいラインアップであった。そのまんますぎて少々恥ずかしいが、結局これが私の本質ということなのだろう。

夜はまた神保町へ。小林健二さんの銀河通信社の限定ショップにて、クリスタルドームと小林さん作の人工結晶「CHALCANTHITE」を購入。クリスタルドームは、まさに結晶のスノードームと呼べばよいものか。現在ある結晶は完成形ではなく、常に成長と変化を続けていくという。机の上に飾って、生き物のようにその変化を楽しむのも面白いかもしれない。CHALCANTHITEは銅の発色による鮮やかなブルーが目に眩しい。やはり青い結晶を見ると素通りできない。本当は『組曲 結晶』というCDを買おうと思いつつ出かけたのだが、CDはまたそのうち買えるだろうし今回はもっとレアなアイテムを入手することができたのでとてもうれしい。銀河通信社の店舗には、光源によって色が変わる「セファイド水」(おそらくこの名前はセファイド変光星から取られたものであろう)、鉱石ラジオ、工具、さらには他のアート作品などが展示され、静かな理科室・実験室を思わせる空間であった。大人になった科学少年のプライベートな実験室に迷い込むような心地よさ、そして銀河通信社の素敵な商品の数々、夜の神保町にあるこの不思議なお店は10月28日まで開店中です。

銀河通信社を出た後は神保町でご飯を。普段からたびたび行っている中華料理屋にて一箱古本市のお礼を兼ねて、相方に夕食を奢る。その後は帰りがてらあちこちぶらぶら。かげろう文庫にて、明治34年に撮られた水兵服姿の少年写真を発掘しこれを購う。裏に撮影日や名前などがすべて記録されており、これも相俟って妄想が膨らむ。それにしても少年のお洋服がかわいい。こういう形のハーフパンツや靴、Janeで出してくれないものだろうか。というか出てもおかしくないくらいテイストがぴったり。

明日は渋谷のロゴスギャラリーへ「2007.東京.町工場より 機械部品と工具の展示即売」を観に行く予定。銀河通信社で散財したので、こちらは見るだけ……にしたいところ。とは言うものの、計画通りに行くか正直自信がない。なにせ機械部品は私の大好物なのだから。


10月20日

渋谷PARCOのロゴスギャラリーで開催されている「2007.東京.町工場より 機械部品と工具の展示即売」へ出かける。印刷解体同様日月堂さんプロデュースで、面白い試みだと思う。廃墟となった町工場から運び出された工具たちは、本来の用途から解き放されてオブジェとしての存在感を放っている。ずらりと並べられた姿は圧巻だし古びた金属特有のなんともいえぬ気配は素晴らしいが、気になるものを手に取って見てみるとつけられている値段はあまりかわいくない。もう少し安い値段であれば欲しいものはいくつかあったが、あの価格帯だとさすがに怯む。印刷解体でだいたい予想はついていたが、もう少し良心的な値段だとありがたかったと心底思う。古道具屋で探した方がよっぽど安い。そういうわけで価格帯が折り合わずに金属モノはスルーしたが、螺子を入れたり部品を整理するのに使ったであろう仕切りのついた木箱は思いのほか手頃な値段だったので二つ購入した。これはディスプレイなどに使えそうだ。手先の器用な人なら自分で作れるだろうが、私はからきしダメなので骨董市などに出かけては古びた函を購入して集めている。次はこの函にどんな物語を入れようか。どんな世界の鱗片を封じ込めようか。久しぶりに再読したくなって、アレン・カールワイズ『驚異の発明家の形見函』を再読している。単行本は古本市で手放したので、今読んでいるのは文庫版だ。

渋谷PARCOを出た後は銀座線で浅草へ。神谷バーへ行き飲む。昔ながらの電気ブラン、そして安くて美味しいおでんやソーセージの盛り合わせ。人のざわめきが絶えない、混雑した大衆的な飲み屋だ。電気という言葉がまだハイカラだった頃に想いを馳せつつ、薬草の匂いのする強いお酒をいただく。そういえばあがた森魚の『乙女の儚夢』に「電気ブラン」という曲が入っているが、あれはまさにここ神谷バーのことを唄ったものである。神谷バーを出た後は、運賃100円の東西めぐりんに乗って帰宅。

12月に勅使川原三郎の公演がある。去年観に行った「ガラスの牙」が大変微妙だったのでどうしようか迷っていたが、勅使川原三郎のソロダンスが「MIROKU」だと知って俄然行く気が起きた。タイトルでピンと来る人もいるかと思うが、これは言うまでもなく稲垣足穂の「弥勒」から取られたものである。「足穂の幻想的な言葉の世界にインスピレーションを得て、言葉で表現しきれない感覚の<ある部分>と身体がどう関わるのかを追求し、美の新しい姿を模索する意欲作」とあり、期待が高まる。小劇場でのパフォーマンスというのも興味深い。私はだいたいいつも世田谷パブリックシアターや新国立劇場などの大きめのホールで勅使川原のパフォーマンスを見ているので、より小さな空間における身体やムーブメントをぜひ見てみたいと思う。というわけで、この公演は行くことに決定。近々チケを手配しなければ。

なんとなく勅使川原三郎熱が上がってきたので、ネットでうろうろしているうちにうっかり『月は水銀-勅使川原三郎の舞踊』を注文してしまう。先にチケを買うべきなのでは…と思いつつ、これはこれで届くのが楽しみだ。


10月23日

10月26日〜28日まで、京都へ出かけることになっている。25日の夜行で京都へ向かい、帰りも夜行。29日の早朝に東京に戻ってくる予定という、相変わらずな貧乏旅行。だけど久しぶりの京都だし、何よりこの季節に行くのは初めてなのでとても楽しみにしている。三日いるといっても実質二日間は用事があって身動きが取れないので、実のところそんなに観光をしている余裕はなさそうだ。だけど私の手元には長々とした「行きたいところリスト」があり、全部は無理にしても一通りは見ておきたいよなぁと内心欲張りなことを考えていたり。もちろん最優先すべきは用事だけれど、観光の方も決しておろそかにするわけにはいかない。とリストを眺めつつ、効率よく回れるスケジュールを練る日々。

絶対出かけようと思っているのは、京都国立博物館で開催されている狩野永徳展、あとは嵐山のオルゴール博物館。オルゴール博物館は以前訪れたことがあるが、その後はご無沙汰だったので久しぶりに出かけようと思っている。あとは本屋やカフェ巡り。大好きなソワレは必ず出かけるとして、行きたいなと思っているのは京大前の進々堂。実はここはまだ訪れたことがない。観光ついでに出かけてみようか。着いた日は朝一で伏見稲荷に行く予定だし(近くにある都麗美庵という朝6時から営業しているパン屋が美味しいらしい。あんパンが有名とか)、寺町のアンティークショップライト商会も見に行きたいし、やっぱり時間が足りないなぁ。行きも帰りも夜行ということで、風邪が一番心配。寝込むほどではないが、ここのところずっと慢性的に風邪気味状態で、体調が安定しない。京都で風邪をひいたら観光がパーになってしまう。なのでなるべく暖かい格好をして出かける予定。荷物が多くなりそ…。


10月25日

『月は水銀』(新書館)を読了。
「もう夜も明けてきた。人形の時代がやってくる。東の空はどっちだろう。朝日の光線に溶けようとする空気たち。僕は人です。人形になる為の。そもそも人形ですが。生命=人形の硝子への恐怖にとり憑かれた月。すべての人形は硝子の三日月を胸の中にしまい込んでいる。僕はそっと忍び込んで人形を侵しナイフで切り裂いた僕の胸に硝子の三日月を差し入れる。こうして人形を侵し続けることが、僕の踊り。この時、僕は僕の時間を刻むのです。僕は踊るのが好きで空気の中にある凹凸を利用して形の動が見えるのです。踊りたくて、踊りたくて、人前でも人前でなくても、僕は踊りたい。離されなかった多くの言葉たちは、何も解らず無知にも、白っぽい平らな広大な地面に立ちん坊だ。僕は空気に抱かれている。不幸な空に相手にされず常に幸福でいたいなどと願ったりする。昔の踊りを作る人々から学ぶより、現存する幽霊から魂を受けつぐのです。」(p.53)

ぱらぱらと頁をめくっていて、山口小夜子さんの姿に目が留まる。山口小夜子さんは「夜の思想」に出演されていたし、またこの本にも一文を寄せている。眺めていて、この美しい人はもうこの世にいないのだという哀しみにふと襲われる。そんな青く透明な喪失感を抱えたまま、ぴあへ行き「MIROKU」のチケを購入する。12月はライヴに演劇、そしてダンス三昧になりそうだ。

ぴあでは劇団キャラメルボックスの公演「トリツカレ男」のチケも購入する。うっかりして今日が発売日だと勘違いしていたのだが、実際は21日からで大変出遅れてしまったため2階席しか取れずに凹む。考えてみればこんな平日から発売になる方がおかしいのだ。あまりの忙しさに勘違いに気付く間もなく、そして訂正をする間もなくこの日まで来てしまった自分に自己嫌悪。サンシャイン劇場は滅多に行かないので構造がわからないのだが、二階席でも見通しがよいことを願うばかり。ちなみにいしいしんじの『トリツカレ男』は現在のところ未読。近々入手して予習をしなければ。


10月31日

今日はハロウィーン。しかし忙しすぎて、そして疲れすぎていて、何もする気が起こらない。ああ、大人になるのは嫌だ。ブラッドベリ片手に引きこもってベッドの中でぬくぬく本を読み空想の翼を羽ばたかせたい。最近外に出ずっぱりだから、自分の殻の中に閉じこもる時間が足りていないのだろう。この頃は自分でも忘れそうになるが、基本ヒッキー属性なのである。今後はもう少しスケジュールを考えないと。

26日から28日まで、京都へ行ってきた。京都旅行の詳細はブログの方にアップしているので、こちらではとりあえず本がらみのことだけを書いておこう。今回の旅行は観光が本来の目的ではなく自由時間があまりなかったので、残念ながら本屋にはあまり行けなかった。いつもの定番恵文社、三月書房、そしてアスタルテ書房を覗くのが精一杯。せっかくだから今まで知らない古本屋にも出かけてみたかったのだが…。荷物を減らすために東京で買える本は基本的には買わないというモットーで見ていたのでほとんど本は買わなかったけれど、じっくりと棚を眺めることができたので満足。アスタルテにてゾッキ本の稲垣足穂『稲生家=化物コンクール』(人間と歴史社)、さらにNEON O'CLOCK WORKS『KRAGENEIDECHSE』を購入。[ネオン・オクロック・ワークス]は今年の4月から5月にかけて行われた展覧会で、「コルセットによって身体を改造する複雑な心の働きの中に浮かび上がる世界を描いた映像と幾つもの箱におさめられたオブジェのコラージュによる空間演出」が行われたそうである。情報は知っていたけれど、結局都合がつかずに行きそびれてしまったので、冊子だけでも手に入れることができて満足。でもやはりこうして紙に残されたものではなく、実際の展示を見てみたかったと強く思う。恵文社では月兎社アイテムを中心に購入。キュヴィエの博物図譜を用いたカードがお気に入り。他にも勝本みつるさんのコラージュのカードなども購入。恵文社の近くに住みたいと思うほど、ここは大好きな場所だ。本に限らず雑貨やCDなど、その品揃えにはいつも刺激を受けている。

スケアメ終了。シーズンインし、これから試合結果を見るために毎週ごとに寝不足になるのか(笑)。今回は京都にいたからすぐ寝ていたけれど、毎朝起きると真っ先にPCを起動して試合結果をチェックしていて自分でも馬鹿じゃないかと思った。でもまぁ、それも楽し。疲れきっているのでスケアメの結果をまとめている余裕はないが、男子シングルに話しを絞ればパトリック・チャンが表彰台に立ったのが驚くやら嬉しいやら。以前から応援していたけれど、とても16歳とは思えない外見とともに演技も大人びていて、特にFSはよかったですね。苦手な3Aを公式戦で初めて決めたのも大きな収穫でしょう。今年はもっと飛躍しそうな選手で期待。日本の高橋君は私、SPは大好きなプログラムです。曲は「白鳥の湖」と超定番だけれど、これをなんと現代アレンジでヒップホップ風に踊っている。EXならともかく試合のプログラムでヒップホップ風なのはかなりな冒険だけれど、これが非常に面白く仕上がっていて見ていて楽しい。ヒップホップ風なステップが見せ場で、もう少し滑りながらというかスピードが出るとより一層よくなると思う。今回はあまり滑ってなかったし、おまけにステップを一つ抜かしてレベル1になってるし(苦笑)。でもなんにせよこういう冒険的なプログラムで高い評価をもらっているし、またこういうチャレンジは大歓迎。そういえばシットスピンがよくなっていて、こういうところにも進歩が見られるのは頼もしい。FSの方はプログラムもちょっとまだピンとこないしスケアメでは転倒が多かったから、次までにはもっと滑り込んでくることを期待。その他日本男子ですが、小塚君はやっぱりジャンプが、ジャンプが…。スケーティングは抜群だしスピンもいいのですけどねぇ。表現力の向上がよく指摘されているけど、それ以上に厄介なのはやはりジャンプ。今回もジャンプミスで順位がのびなかったし…。総合結果は8位。うーん、持っているものは非常に良いから現状がちょっともどかしい。南里君は10位。南里君は国際試合に弱いですよね。本来の力ならもっと上位を目指せそうなのに。次は頑張れ!

 

 

 

 

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