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★5月1日★ ★またまた久しぶりの日記だ。仙台から帰ってきて以来、忙しくて忙しくてPC日記を更新する暇が全くなかった。おかげさまで、書きたいレポやテキストが溜まりに溜まっている。書ききれないままになっている毎日の出来事は、胸の中に秘めておくというほどまではドラマティックではない数々の記憶は、言語化という定着行為を行えないまま掻き消えて失われてしまうのか。 仙台以来、私は一体何をしていたのだろう。具体的に言えば、大学に通い授業やゼミに出席をし、本を読み、演劇・ライブ・展覧会に出かけ、ショッビングをして服や化粧品を買い、おいしいものを食べ、友達と遊んだり喋ったりし…とまぁこんな感じでごく普通の毎日を過ごしていた。満たされていて、楽しい日々。しかし、活動するのに忙しすぎてその記録を残すことがまるっきりできていない。せめて出かけたイベントのメモくらいは残しておきたいものだが、最近はそうしたメモを書く時間すら取れない。このあたりのバランスが、なかなか難しい。しかし今は、ようやくアクティブな状態に戻った今は、記録することよりも行動することが自分の中での重要なウェイトを占めているらしい。もう少し、今のままのスタンスで活動を続けることにしよう。泡のように消えていく毎日の中で享楽的に溺れることに飽きたら、掌からすり抜けていく言葉を捕まえることもせずみすみす見逃していくことに淋しさを感じる限界が来たら、その時はまた考えることにしよう。テキストを書くこと、言葉というツールを操ること。この行為とどう付き合っていけばいいのか、現在いろいろと模索中。 ★4月29日の記録。一箱古本市→コルキニカの展示会→渋谷O-nestにてトクマルシューゴ&ザ・マジックバンド、知久寿焼(ex.たま)、d.v.d.、そして特別来日ゲスト:Ramona Cordova(from USA) 今日は取り急ぎ、一箱古本市の記録。13時過ぎに家を出て、ふらふらと千駄木方面へ向かって歩く。快晴で、まさに散歩日和&古本日和。あちこち覗きつつ、二袋分本を買う。購入リストは以下のもの。おおまかにわけると、本関係&趣味関係といったところか。 ・草森紳一『本が崩れる』(文春新書)、小林一博『本とは何か』(講談社現代新書)、磯田光一『鹿鳴館の系譜 近代日本文芸史談』(講談社文芸文庫)@古書北方人 ・安房直子作/味戸ケイコ絵『白樺のテーブル』 ・亀井勝一郎『読書論』(旺文社文庫)、ウィリアム・ホープ・ホジスン『ナイトランド』(月刊ペン社)上・下 購入した本は以上。一応これでも控えめにしたつもり。時間がなくて全部のブースを回りきれなかったのが残念だった。もっと早く起きればよかったのだけど、最近疲れているから休日は起きれなくて気がつくと昼近くになっているし…。ダメダメ。 今回の一箱古本市は古本巡りの他にもう一つ目的があった。工作舎・古書部が出店するとのことで、こちらも非常に楽しみにしていたのである。出かけたのが遅かったのでめぼしいものはあらかた売れていたが、IさんやMさん、そして初めてお会いしたIさんをはじめ、工作舎の方々に久しぶりにお会いできたのが大きな収穫だった。自分の読書歴を考えても工作舎というのは原点だし、またネットを始めた初期の頃に工作舎に遊びに行きいろいろとお話させていただいたことは貴重な体験となっている。その工作舎も松濤を離れ、一年半ほど前に月島へと移った。移転のニュースを知った時も連絡をしようと思いつつ、大学院でもがいていた私にはそんな余裕もなかった。しかしこうして博士課程に進学し生活も落ち着いた今、久しぶりに再会することができたのは本当にうれしいし、ある意味ベストタイミングだったと思う。これからまた工作舎の出版物を追いかけていきたいと思っている。とりあえずまずは、四方田犬彦『月島物語ふたたび』を購入することにしよう。工作舎のブースの前ではサイトを見てくださっている方とお会いすることができたのも嬉しい驚きだった。このように本こそ買わなかったものの、収穫の多い工作舎ブースだった。他の場所でも声をかけていただくことがあり、ネットでの幻影が白日の元に晒されたような恥ずかしさを少々感じつつも、こうして人と出会えるのも一箱古本市の楽しさだと改めて感じている。みなさま、どうもありがとうございました。そんなわけでごく限られた時間の中で慌ただしく見て回りましたが、一箱古本市を堪能しました。 ★5月3日★ ★あがた森魚さんのオフィシャルサイトをチェックしていたら、蜷川幸雄演出の「エレンディラ」に出演されるとのことでびっくり。もともとこの舞台は行こうと思っていたけれど、楽しみが一つ増えたな。ただ8月9月の予定がさっぱりわからないので、7月以降チケを取ろうと思っているのだけれどこれは甘いかなぁ。売り切れる前に押さえておいた方がいいのか、それともスケジュールが決まってから買った方がいいのか、悩みどころです。 あがたさんと言えば、2月に発売された『乗物図鑑』を最近よく聴いています。80年に発売された幻の音源がリマスタリングされて初CD化。タルホコスモロジーへのオマージュが色濃く出ている作品で、稲垣足穂とあがた森魚両者のファンである私にとってはうれしいアルバム。4曲目「エアプレイン」のイントロでは、足穂の声がコラージュされている。足穂は、飛行機の擬音を出しています。初めて足穂の肉声を聴いたなぁ。まさかこういう形で出会うとは思っていなかった。 ★私も会員である、日本ジュール・ヴェルヌ研究会のニューズレターのための原稿を書きました。次号(4号)に載るはずです。800字弱の小文で、自己紹介的エッセイです。ポール・デルヴォーからヴェルヌへと導かれた読書体験のことを綴っています。日本ジュール・ヴェルヌ研究会は現在会員募集中です。年会費は500円ととてもリーズナブル。年四回のニューズレター発行、さらに会誌「Excelsior !」をはじめ、映画上映会などさまざまなイベントが行われています。ご興味がありましたら、ぜひどうぞ〜。 ★5月7日★ ★ゴールデンウィークが終わってしまった。旅行には行かなかったけど、遊びの部分では「これで思い残すことはなし!」というくらいたくさん遊んだから満足。しかしGWは休養メインにして今後の体力を貯えるという当初の計画は一体どこへ…。むしろ体全体がバキバキで、おまけに昨日一日が寒かったものだから微妙に風邪ぎみだし。いかん、いかん。早く体調を整えないと。体全体のだるさはプライヴによるものだと思われます。やっぱり年とると2daysはきついわ…。と言いつつ、両日とも前にいた私が悪いんですけど。ぎゅうぎゅう押されていたので、脇腹が痛いです。あとは肩や首の筋肉痛がひどい。数日で治るかな。 ★バタバタしていたので、自分のサイトでの告知がすっかり遅くなってしまいました。私もスタッフとして参加しているイベント、サイエンスクラブのお知らせです。7月7日、七夕の夜に六本木スーパーデラックスで科学と音楽を融合させたクラブイベント「サイエンスクラブ」を開催します。 七夕の夜だから 詳細はウェブページでどうぞ。mixiのコミュはこちらから。チケの発売は、5月中旬以降になる予定です。また5月12日(土)に8bit cafeでプレイベントを行います。こちらもぜひどうぞ。それでは七夕の夜、ぜひぜひ一緒に過ごしましょう☆みなさまのご来場、お待ちしております。 ★5月14日★ ★日記でのコメントが遅くなりましたが、2003年から使っていたODNのサーバから離れ、サイトの引っ越しを行いました。独自ドメインなので、おそらくここが終の住処になるかと思います。最初はnewatlantis.netでドメインを取ろうと思っていたのですが、こちらはもう取られていてダメだったのでyuriha.netにしました。自分のHNをドメインに使うのはなんか嫌だなぁと最初は思っていたのですが、逆に考えればサイト名を使わないことによって汎用性は高くなったので、そう思えば悪い選択ではなかったのかもしれません。思えば最初にHPを立ち上げた時は、ジオシティーズのサーバでした(実は今もここに残骸が残っています)。3年ほどで今のURLに移り、また3年ほどで移転。3年周期で引っ越しですね。現在多忙で連絡が遅れますが、リンクしていただいているサイトにはご挨拶を兼ねてメールを差し上げようと思っています。もう少々お待ちくださいませ。引っ越したからさぁてサイトの更新を…と思っていたら、わらわらと忙しくなり日記すらもろくに書けない日々になってしまいました。嗚呼、更新は…。 ★大学で開催されている健康診断に出かけてきた。去年よりも身長が縮み(ついに152.6cm)、さらに体重と体脂肪も減っているという結果に。体重と体脂肪はともかく、身長まで減らんでもいいのに。私は実身長より背が高く見えるらしく、いつもだいたい156cm以上に見られるのだけど、実際はかなり低い人です。高く見えるのは、靴と帽子による目の錯覚に違いない。最近は低身長コンプレックスは克服したけれど、それでも二年連続身長が縮むとやっぱり凹むなぁ。このままだと、老人になった時はどうなっていることやら。健康診断は特に問題はなかったようだが、今回生まれて初めて「血圧が低い」と指摘されてしまった。去年は114/60だったのに、今年は96/52。今まで血圧なるものを一切気にしたことがなかったのでどの程度低いのかはわからないが、明らかに去年より下がっている。それもかなり。最近やたらふらふらしたり、ものすごい疲労感を感じているのは血圧のせいなのか?「忙しくて疲れている」ということを伝えたところ、ビタミンBの摂取を勧められたので、近々サプリを買いに行くことにしよう。最近ずっと機嫌が悪く「だるい」「疲れた」「忙しい」とばかり言い、周囲に迷惑をかけているうえ精神衛生上でもよくないので、なんとかしたいところです。でももうきっと無理。。7月半ばまで、ふらふらしつつ全力疾走で駆け抜けるしかないのだろう。 久しぶりの日記がこんなつまらない内容ですみません。神戸のTさまより澁澤展の招待券を送っていただいたので、最終日の20日に駆け込もうと思っています。これが今の私の心の支え。文学とかカルチャー談義にどっぷり漬かりたいなぁと思いつつ、目先の雑事に追われて心に余裕のない日々です。 ★5月15日★ ★我が大学で高山宏の講義が開催されているということを今更ながらに知って、ふらりと覗きに行った。配布される資料もいい意味で相変わらずで、久々の高山節満載の講義を堪能。しかしながら私は4年以上この人の著作を読んでいないし、また博物学やら科学史の領域からもだいぶ離れていたので、自分の頭から知識がきれいさっぱり消え失せていることに改めてショックを受けてしまった。ときどき、今の私は残骸だと思う。昔のきらきらした知的好奇心と、真摯な探究心はどこへ消えてしまったのだろう。しかし嘆いていても仕方あるまい。精神の暗黒期だった3年ほどは現実生活での足場を築くために必要な犠牲であり、結果的にそれなりの見返りは手にすることができたのだから、致し方のない部分もあるのだろう。だから生活が落ち着いた今、またゼロから始めればいい。それはここ最近、ずっと日記の中で繰り返し言っていること。2007年が、リスタートの一年だから。後期、他大で某方が授業を持つという情報も教えていただいたので、これはぜひとも聴講しに行こうと思っている。高山宏といいその人といい、NEW ATLANTISの原点とも言える存在だ。私は彼らの著作によって新たな世界の扉の存在を知り、またそれを開く鍵を見つけることができたのです。その扉を、閉ざしてしまったのは私。だからもう一度、開かなければと思う。懐かしい、大好きだったあの世界へと通じる扉を。残念ながら高山宏の授業は私の本属のゼミの時間とバッティングしているので、出ることができるのは今回限りかもしれない。しかし、短い時間ながら非常によい刺激になった。これからしばらくは、自分という地層を掘り返す日々が続きそうだ。 ★あまりにアレな日々で消耗しつつあるので、大学を出たあとふらりと銀座へ。わずかな時間ではあるが、夜の銀ブラを楽しむ。心がささくれ立っているので「アニックでVanille Exquiseを買ってやる!」と意気込んで出かけたものの、松屋のアニックはいつの間にやら撤退。。向かいのオペークに入ったものの、ここでの取扱いは100mlのみ。バーニーズに行けば在庫はあるのかもしれないけれど、二度の空振り+本が6冊以上も入った殺人的に重い鞄とふらふらの体でこれ以上探し回るは無理と判断してこの日の購入は断念。結局、家に帰ってきてからネットでぼちっと注文してしまった。結局これが一番楽な方法なのよね。だからついつい、何もかもネット通販で済ませてしまいがち。何もひたすら暑くなる一方のこの時期に甘ったるいバニラやらミルクの香りを買わなくてもいいような気がするのだけれど、今は疲労した体がこの香りをたまらなく欲しているらしく、ついにボトル買い。届くまで、手持ちの量り売りをちびちびつけて間に合わせることにしましょう。ヴァニーユ・エクスキーズは届き次第、ブログの方で紹介予定です。アニックでは物欲が満たせなかったので、銀座LUSHでスキンケア用品を買い込みHMVでプラのニューシングルを買い(今回の曲「真っ赤な糸」はかなり好み)、ようやっと満足して帰路についたのでありました。時間があればコスメも見たかったなー。 ★5月18日★ ★萬葉堂書店にて金井美恵子『春の画の館』(思潮社)、カタログハウス編『大正時代の身の上相談』(ちくま文庫)、柳田泉・勝本清一郎・猪野謙二編『座談会明治・大正文学史(1)』(岩波現代文庫)、大山堂書店で多木浩二『「もの」の詩学』(岩波現代文庫)を購入。萬葉堂書店にはセール本のコーナーがあったのだが、そこには「一冊でも500円。二冊でも500円。三冊でも500円」との張り紙が。突っ込みどころ満載すぎて笑える。今日の掘り出し物はなんといっても『春の画の館』だろう。値段も手頃だったし、帯がそのまま残っていた。帯には「春の剥製標本」という種村季弘の文章が掲載されている。決して金井美恵子の熱心なファンではないので(好きではあるけれど)、このような本が存在しているとは書棚で出会うまで知らずにいた。展開されている世界は残酷でエロティックではあるのだが、館の中心となる主の姿が巧妙にぼかされているように、どこか空虚さが漂うエロティシズムである。少年少女たちの、そして<<女中>>たちの行う残虐行為よりも、むしろその行為を成立せしむる館というシステムそのものの方により惹かれてやまない。 ★地下室には透明なガラス製の大きな箱(ケース)があり、罰を受ける少年少女たちが<<女中>>の手によってガラス箱の中に押し込められる。ガラス箱に透明な針が無数に突き出ていて、その鋭い針は電動によって微かに動きながら罰を受ける少年少女の肌に喰い込んで行く。これはある古い物語に主要な役割を持って登場する死刑機械にヒントを得て、十二人の<<女中>>が設計したものであり、最大の眼目は箱が透明なガラス製(十二人の<<女中>>は凝性だったので箱の八つの角ごとに美しい切子細工の模様を入れるため、六枚の針の突き出たガラス板をチェコスロヴァキアで作らせた。)であることによって罰を受ける少年少女の体のすべての動きがことごとく見えることである。ガラス板に無数の血の飛沫が散って流れ、真紅の血の糸筋が透明なガラス板を流れ伝うのが常に鮮明に映えるように、血液の退紅色でくもったガラス板は一定の間をおいて巧妙に仕かけられた装置から流れ出る清浄な水によって洗われる。苦悶の声は内部に仕掛けられた拡声器を伝って地下室に響き、発動機がうなり、妙なる音楽が流れる。<<女中>>たちはおこり病のように体をひきつらせて十二の音階の笑い声が響くのだが、丹念に耳を澄ませると、もう一つまったく別種の音階で動く笑い声が姿はないのに聞こえるのだ。その笑い声こそ館の主の正体だともいう。 *** 世界の超小型模型(ミニュアチュール)、たとえば、こぶしかオレンジほどの大きさの星の上に、それにふさわしい引力と空気がそなわり、海と陸と、その上に人間や動物たちが住んでいるような、そうしたミニュアチュールの惑星が、館の主の夢の中を通う。無数の青いオレンジ大の星々と燃えるいくつかの星々が、透明なコイル状の廊下に銀河系をつくっている。自己増殖する欲望の星雲が廊下の底知れぬ天井の上方に白い闇をひろげている。それが夢だから許されているのをいいことにして、星々は再現なく増えつづけ、闇は何もかも飲みつくして、なお際限もなく広がりつづける。 廊下の広さは、館全体よりも広い、という不合理が春の画の館では成立する。館の主が毎晩見る夢のわずかずつの沈殿作用によって、ごったがえす物体はふえていったのであり、物体がふえるにしたがって、廊下は際限なくふくらみつづける。ガラス張りの渡廊下は、主の夢の通う透明コイルである。 空間を充たす不思議な夢の漂着物は、だから毎日毎日、確実にふえて行くのである。館の内側の馬鹿気た博物館の宙に浮いた渡廊下を、もし夜の間に見ることができたら……。 ★5月21日★ ★うわぁあああ、忙しくて頭がおかしくなりそう。そしてそろそろスケジュールが破綻しつつある状態に。。。 ★20日は埼玉県立近代美術館で開催されている「澁澤龍彦ー幻想画廊」展へ。雑感をまとめている余裕は全くないが、とてもよい内容だったと思う。家でしみじみ振り返るために、図録を購入。またミュージアムショップではデルヴォーの「Hommage a` Jules Verne」(ジュール・ヴェルヌへのオマージュ)のポストカードが販売されていたのでこちらも購入。先日ヴェルヌ研究会のために書いた文章は、この絵が出発点となっている。そういう意味でも思い入れがあるし、また非常に気に入っている一枚なので、ポストカードを見つけることができてうれしい。さて、今日はこれから歌舞伎です。歌舞伎座、昼の部。團十郎、海老蔵がお目当て。 ★疲れていて頭がよく働かない時は、ネットでの本の衝動買いが増加する。短歌研究文庫の『塚本邦雄歌集』を買ってみたり(「透明文法」「水葬物語」「緑色研究」「 星餐図」「蒼鬱境」「青き菊の主題」など、書き写しているだけでうっとりするようなタイトルばかり)、池田理代子の『オルフェウスの窓』を全巻注文してみたり。今は読むことができなくとも、手元に置いておくだけで心の養分になってくれる、そんな書物たち。 ★そういえば先日注文したアニックのヴァニーユ・エクスキーズだが、なんと50mlは廃盤になってしまったらしい。今は100mlしか取り扱っていないとか。え、そんなの困る。。100mlはさすがに多いからいらないや。どこかに50mlの在庫が残っていないものか…。しくしくしく。 ★5月24日★ ★月曜日、久しぶりに歌舞伎座に出かけてきた。しかしこの日は歌舞伎の最中に具合が悪くなり、最後までいられずに途中で出てくる羽目になり同行者に多大な迷惑をかけ、さらに夜の予定までドタキャンという大失態を重ねた日だった。自己管理がなっていないと猛反省。「自己管理がなっていない」というのが予定を詰め込み過ぎ&授業やゼミを取り過ぎというあたりが、真面目なのかアホなのか…。結局あまりにキツかった水曜は、悩んだ末に授業を一つ切ることにした。という話しを友達にしたところ、「安心したよ」と喜ばれてしまうところですでに無茶なスケジュールだったのが露呈しているわけですが。。昨日会った別の友達からは顔を見るなり「やつれてる?」と心配されてしまう始末だし(いや、自分でも充分自覚はあった。げっそり疲れた顔を見たくないから最近鏡を直視していなかった)、体に限界がきているようなので5月末までのスケジュールは整理することにした。無理をせず、少し休もう。 スケジュール整理をしつつ、現在迷っているイベントはこれ。サロン黒猫主催のイベント、「さようなら子供たち」。bullionのお洋服に和都さんのオブジェをはじめ、コンセプトもとても好みでチケはもうすでに押さえてある。しかし開催地が大阪。行くとしたら夜行バスの日帰りなのだが、現在の体力ではそんな無茶な遠征ができるものなのか。。でも久しぶりに大阪に行きたいし(もしするなら大阪遠征は維新派の「ナツノトビラ」以来だ)、修羅場の6月7月に突入する前に自分の好きな世界に触れることによって心に栄養補給をしたいし、うーん悩むなぁ。今のところは行く予定で、近々夜行バスを押さえようと思っている。でも直前になってあまりに体がガタガタだったら諦めざるを得ないだろうな。行けるかどうかは、完全に体調次第。だからしっかり自己管理に務めなければ。 ★五月大歌舞伎の雑感。 ・「勧進帳」:弁慶が團十郎、富樫左衛門が菊五郎。以前見た時は弁慶が海老蔵・富樫は菊之助だったので、今回は親父世代の競演ということか。さてその勧進帳だが………。実は最初に見に行った時、友達が「海老蔵のはよかったけど基本的に勧進帳ってつまんない演目だから」と言っていて、その時は「ふーんそうなの?」と思った私だったが、今回初めて友達が言っていた意味がわかったような気がする。。勧進帳、確かにあまり面白くない。まず科白が何を言っているのかわかりにくいし、おまけに最初に海老蔵の弁慶を見てしまってそのイメージが染み付いたからか、團十郎の弁慶は迫力不足に思えたしなぁ。うーん、個人的には海老蔵の方がよかったなぁという印象。團十郎は他の演目でもぜひ観てみたい。その「あまり面白くない勧進帳」ではあるが、1887(明治20)年に明治天皇が観るという天覧歌舞伎の時に上演された演目であり、その時は九代目團十郎が弁慶、五代目菊五郎が富樫という配役であった。今年はその天覧歌舞伎百二十年記念なのである。この天覧歌舞伎によって歌舞伎の社会的地位が向上したという、演劇史的な意味でもまた社会や文化を考えるうえでもさまざまな問題を提起する非常に面白い出来事であったわけだが、今回はそこまでは立ち入らない。こうした歴史的な経緯から見ても、歌舞伎における「勧進帳」という演目はある特別の意味を帯びているのだが、現在の私にはイマイチこの演目の面白さがわからないのでありました…。。 ・「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)」 木更津海岸見染の場、 源氏店の場 ★5月26日★ ★体調がぐてぐての土曜日。久しぶりにノヴァーリスを再読する。私が最初に読んだノヴァーリスの本は現代思潮新社版の『日記、花粉』だ。出会いは『青い花』ではなかったのである。それゆえより一層私の中のノヴァーリスはアフォリズム、そして詩的断片の人としてのイメージが形成されたように思う。なんとなくノヴァーリスを読み直したくなって本棚を見たところ、ちくま文庫から出ている『ノヴァーリス作品集』の第1巻しか買っていないことに気付いて愕然とする。もう第3巻まで出ているはずなのに…。近々残りの巻を手に入れることにしよう。 ★想像力(ファンタジー)は、未来の世界を高みに置くか、深みに沈めるか、あるいは輪廻という形でわれわれのところにもたらすかする。われわれは宇宙万有を経めぐる夢を見るーだとすれば宇宙万有はわれわれの内部にあるのではないか。われわれはみずからの精神の深みを知らないのだ。ー内部へと神秘に満ちた道が通じる。諸々の世界を引き具した永遠、過去と未来とは、われわれの内部にあるのでなければ、他のどこにもない。外界は、影の世界であり、その影を光の国に投じている。もっともいまは、内部はとても暗く、寂しく、朧げである。だが、この暗闇が去って、影なす物象が取り除かれれば、どれほどすっかり変わって見えることか。われわれはこれまでにないほどの楽しみを味わうだろう。というのもわれわれの精神は乏しきに耐えてきたからである。(ノヴァーリス「花粉」ちくま文庫『ノヴァーリス作品集第1巻』より) ★5月29日★ ★忙しかったり、疲れていたり、あとは余裕がなかったりしてあまり日記が更新できない毎日。銀座人形館で開催されている浦野由美さんの人形展の感想、あとはみとせのりこさんの新譜「カタン」の感想などを書きたいけれど、どうにもまとめる気が起きずずるずると書きそびれているなぁ…。ブログの方は写真をアップしてしまえば基本的にOKで、テキストの方は写真の添え物だからちょいちょいと書けばよいのだけれど(以前はテキストそのものとしても読める内容を書きたいと思っていたけれど、今はそこまで作り込んでいる時間がないからすっかり手抜きに。。)、日記の方はテキストオンリーだから文章としてまとめるためにはもっと言葉と向き合う必要があり、集中力が求められる。今はそこまでの気力がない。だからずるずるとたくさんのことを書きそびれていってしまう。「カタン」ですが、私はみとせさんのファンだし今回のアルバムもやろうとしていることはとても評価しているしすごくいいと思う曲もあるものの、全体的な感想としてまとめるとやや辛口になるかも。少なくとも「ヨルオトヒョウホン」みたいな大絶賛とはいきそうにありません。曲の完成度にかなりバラつきが見られるなぁと思いました。そして有名な曲ほど、例えば「紅葉」「さくら」ほど聴いていてつまらないということ、そして何よりボーカルの脆弱性を感じてしまうことを残念に思いました。そのあたりのことは、数日中になんとかまとめたいなと思っています。 ★ZARDの坂井泉水さん急死のニュースにびっくり仰天。ZARDは今は全く聴かないのだけれど、90年代に青春を過ごした人間としてはビーイング系は避けては通れない存在なわけで…。私が最初にZARDを知ったのは、4thシングルの「眠れない夜を抱いて」という曲でした。今調べてみたら1992年発売だから、私が中1の時かな。これに続くシングル「IN MY ARMS TONIGHT」が自分の中でZARDの核となっていました。この次のシングル「負けないで」で大ブレイクするわけですが、私はこの曲はあんまり好きではなくて…。だってポジティブ全開な曲だし、私は基本的にネガティブな人なので(笑)。そう思えば「眠れない夜を抱いて」と「IN MY ARMS TONIGHT」という「夜」がタイトルに入っている二曲が好きになったきっかけだったというのは象徴的だったのかもと思います。実は今でもこの二曲が入っているアルバムは手放さずに手元に置いてあります。部活動帰りの夕方、中学校から家へ帰宅する坂道の途中で友達と遊んだり喋ったりしていた毎日を過ごしていた頃に知った曲だから、曲を聴くと心があの頃に還ってゆく。中1というと、思春期以降めちゃくちゃだった10代の学校生活の中で、唯一まだ幸せな時代の名残を留めていた頃です。明るい黄昏時のなかで何度も心の中で反復していたメロディー、それが「眠れない夜を抱いて」でした。やっぱりこの曲が、今でも一番好きなのかも。ビーイング商法のやり方や音楽性に疑問を感じることはあるものの、それでも90年代を象徴する存在の一つであり、その中でも非常に売れて一時代を築いたのがZARDであることは間違いないと思います。現在も音楽活動は続けていたわけだし、90年代という枠組みのみで捉えるのもどうかと思うのだけれど、私が聴いていたのはせいぜい96年頃までなので、どうしてもこの時代限定で語らざるを得ません。「眠れない夜を抱いて」と「IN MY ARMS TONIGHT」は自分の個人史と非常に密接に関わる、大好きで思い出のある曲です。聴くと甘酸っぱくて、心が痛い。でもそれは決して不快な痛みではなく、ノスタルジアを伴った幸せな胸の痛みなのです。坂井泉水さんのご冥福をお祈りします。 ★5月30日★ ★最近ずっと調子の悪かったPCがついに力尽きたようで、モニタがおかしくなってしまった。たぶんバックライトの問題だろうなぁ。蛍光灯をあてるとうっすら文字が見えるという状態なので、それで必要最低限のメール連絡をこなした夜。6月は発表の予定が詰まりまくってしてそのための資料の準備が必要だし、なによりネットがないと何もできないも同然の生活をおくっているのでPC不調は死活問題。なので明日、アキバのお店に持ち込んで修理を頼む予定です。即日修理で終わるといいなぁ。そんなぐだぐだ状態のPCで画像やソースコードを弄ることはできないけれど、この日記はHTMLで書いているとはいえ7年ほど書き続けているのでモニタが多少死んでいても手癖でできてしまうので、今回こうして更新しています。 今後の舞台予定もろもろ。6月には能を研究している院友と一緒に能を観に行くことになりました。一番安い席だけど楽しみ。能は学割があるのが大変ありがたいです。あと蜷川のエレンディラのチケもついに押さえました。こちらも学割で。S席もA席も半額になるという、大変お得な学割(大学学割?)があるのです。この学割、ものすごーくおいしいです。おいしすぎるから、これからもっとこの学割のチラシをチェックしようと思いました。あと友達に頼んで、9月のコクーンで開催される「ドラクル」のチケの優先予約にエントリー。海老蔵そして宮沢りえという、なかなか濃ゆい配役です。内容はゴシックロマンスだったかな?歌舞伎ではなく、普通の舞台に出る海老蔵を観るのははじめてなので期待中。とまぁ、最近はこんな感じです。明日は六本木に出かけて「暗闇にノーチラス」というイベントに参加してきます。あがた森魚さんが出演されるので楽しみです。 |
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