9月1日

9月1日〜5日まで札幌に帰省します。その間FTPが利用できないので、日記はここではなくブログの方で書いていく予定です。いい加減サイトのトップページからブログにリンクはらないとな…。なかなかその作業をする暇が取れません。あと帰省前にメールの返信を済ませようと思っていたのですが、どうしても間に合いませんでした。返信は東京に戻ってきてからになってしまいそうですが、どうぞご了承くださいませ。ではでは、札幌に行ってきます。


9月6日

東京に戻ってきました。楽しかったけど、体力的にはボロボロ。この後も予定が詰まっているし、先が思いやられます(主に修論とか)。でもま、人生楽しければいいや。最近はもう、そんなスタンスです。旅行のことは引き続きブログに載せていく予定です。洋服話しが混じるとは思いますが、ご興味がありましたら引き続きブログの方も宜しくお願いいたします。コメントもお気軽にどうぞ。

最近の読書。帰省中、タニス・リーの本は半分くらいしか読み進められませんでした。今は駒井哲郎『白と黒の造形』(講談社文芸文庫)を読んでいます。


9月8日

タニス・リー『死の王』(ハヤカワ文庫)を読了。600ページ以上にも及ぶ長編で、また英国幻想文学大賞を受賞した作品なのでかなり期待して読んだのだが…ちょっと辛口感想になってしまいそう。といっても面白くないというわけではなかったけれど。一番不満を感じたのは、訳者による文体かなと思う。『闇の公子』の翻訳の磨きぬかれた言葉たち、優雅で古典的な調べを奏でる文体に酔いしれた身としては、『死の王』の室住訳は非常に物足りなかった。同じシリーズだから、作者の文体がそう変わっているとは思えない。やはり、翻訳の問題なのだろう。ナラセンとメルの物語、シミュとジレムの成長と離別あたりまでの内容、つまり「巻の一」あたりまでは楽しめたが、それ以降増え続ける登場人物にやや混乱し、物語の展開からも少し置いていかれた気持ちで読んでいた気がする。あと物語が基本的にシミュ中心で話しが進み、ジレムに関する話しが最後の方で一気に展開されたのもなんだか唐突に感じた。「二人の美青年の倒錯した愛と退廃の美を軸に、死の王と闇の王との権謀術数を描いた」と文庫カバーの裏にあり、まぁ間違ってはいないだろうけどこれが的確な表現だとはとても思えない。一度読む分にはなかなか面白かったが、そう何度も繰り返し読みたい作品では個人的にはなかった。やはり私は、呪われるほど美しい『闇の公子』が好きだ。これからもずっと手元に置き、繰り返し読み、その文体を体に沁み込ませたいと思う。


9月9日

恩田陸『夜のピクニック』(新潮文庫)を読了。そもそも恩田陸が好きだし、単行本が発売された時から評判がよく、本屋大賞を受賞した作品でもあるし、ずっと前から読みたいなと思っていた。しかし図書館で見つけることができなかったので、結局文庫落ちまで待つ結果に。でも最近文庫落ちのペースがものすごく早いから、待つのが全然苦じゃなくなってしまったな。

全校生徒が夜を徹して80キロを歩く歩行祭が開催される北高。ここの生徒である高校三年生の西脇融、戸田忍、甲田貴子、遊佐美和子の4人が中心となって物語は進んでいく。歩行という行為、疲労していく肉体、それぞれの内に秘めた想いや心情、そして移り変わっていく景色…。人間関係の清算に話しが焦点化されていく後半よりも、物語がゆるゆると流れ、そして描写される景色の美しい前半が私は特に好きだった。ファンタジー色のない、青春小説。私は恩田陸の作り上げる濃密な物語と現実/非現実の境界の上の学園物語を一番好んで読むのだが(『三月は深き紅の淵を』『麦の海に沈む果実』など)、『夜のピクニック』に描かれているリアルな高校生活の話しもいいなと思った。将来の夢・受験の悩み・そして恋に揺れる彼らの姿がなんともまぶしい。まぁ今だってそういう悩みがないわけではないのだけど、やっぱりちょっと違うんだよな。不器用で繊細な高校生じゃないからねぇ。前よりは器用になったから、いろんなことをそれなりに上手くすり抜けられるようになってしまった。でもそんなテクニックもなく、目の前の一つ一つに馬鹿みたいにぶつかっていったのが高校時代なのかな、と。あの時にはもう戻れない。けど、戻りたいとも思わない。こうして青春小説を読んで、甘酸っぱい気持ちを反芻するだけでいい。『夜のピクニック』は歩く、話す、ただひたすらそれだけ。ドラマチックではないが、いい小説だ。歩行の感覚がやけにリアルだなぁと思っていたのだが、どうやら恩田陸の高校であった行事がモデルになっているらしく、なるほどと納得。この作品は映画化されるそうだが、どんな仕上がりになっているのだろう。ベッタベタに青春されたら嫌だなぁ。いや、活字で読む青春は大好きなんですけど、それが映像になると途端に気恥ずかしなっちゃうのはなんでなんだろうな。映像に対する耐性が出来ていないから?

ハチクロの10巻を読了。………ああ終わったねぇ、みたいな。もっと怒るかと思ったけど、なんかそういうのも全部過ぎ去ったらしく淡々と読み終わってしまった。私は森田と竹本が好きだった。結局修はぐエンドだったわけだけど、結論よりも過程に納得がいかないんですよ、過程に。不満なのはそこだけじゃないんだけど、まぁいいや。

さてと、これからファッションショーに行ってきます。Jane Marpleが目当てです。暑いから、限りなく軽い装いで出かけます…。肝心な時に気合い入れられない自分が憎い。


9月10日

お友達がCDを一山送って下さった。私が知らない、でも確実に私が好きであろう音源のセレクトは、いつもとてもありがたいし、これがきっかけとなって好きになったアーティストも数多い。今回もわくわくしながら一枚一枚聴いているのだが、今日の日記はそのうちの一枚、空夜の『静焔』ついてのエピソード。

アルバム『静焔』の最初の曲「ケティ」を聴いてすごくいいなと思って空夜のオフィシャルに飛んでみたのだが、……あれこのサイト以前一度来たことがある。なんでだっけと思いつつプロフィールを見て、すべてが氷解した。なんと空夜はex-GRASS VALLEYの本田恭之さんのプロジェクトだったのである。私はGRASS VALLEYが本当に好きだった。といってもリアルタイムでは聴いていなかったけど。私が最初に知ったのは解散して数年経った頃だった。GRASS VALLEYというバンドはどうやって説明したらよいのだろう。1987年、シングル「FREEZIN'」でデビュー。音楽的には80年代的ニューウェイブ系から出発し、やがてはロックな方向へ転じたというところだろうか。私は特に、初期〜中期頃までのサウンドが好きだった。初めて購入したのはベストアルバム『白い旋律』。これを手がかりとして、オリジナルアルバムを少しずつ集めていったあの頃を思い出す。私にとってGVの魅力は曲と歌詞、出口雅之さんの低いヴォーカル、上領亘さんの凄腕テクニックなドラム、そして曲に独特の彩りを添える本田さんのシンセサイザーの音だった。空夜を聴いて、私の好きな本田さんのテイストは失われていないことを確信し、部屋で一人『静焔』を聴きながらなんだか泣けて仕方なかった。

GVが解散したのは1992年のことだった。出口さんはGV解散後ビーイング色のバリバリ出たREVなどで活動していたが(私がGVを知ったのも実はREVがきっかけだった。この人の声好きだなーと思って前バンドに遡ってという感じ)、当時はどちらかというと流行りものの歌ばかり聴いていた私は他のメンバーの活動を追いきれなかったし、またその活動自体にもあまりピンと来ず、いつしか離れていってしまった。それでもインターネットを始めてからは時たまふと思い出したようにGRASS VALLEYで検索をかけ、ほそぼそと情報を集めていた。空夜のサイトにたどり着いたのも、そうした流れだったように思う。ただその時は本田さんが新しいプロジェクトを始めたのだなぁと思った程度で、音源を視聴することもなく引き返してしまった。当時の私は他に好きな音楽がたくさんあったし、また正直メンバーのソロでGVを超える音に出会えることもなかろうという気持ちもあった。現在のことより、過去の方が大事だった。過去の素晴らしい音源を聴いているだけで、もう充分だった。

でも2006年になって聴いた空夜の音は、私の好きな本田さんの音そのものだった。もちろんGVとは違う。でも、そんなことはどうだっていい。私はこの曲や音、そしてボーカルのmiyoさんの声がとても好きだ。空夜は、本田テイストを残して、でもGVとは全く別ものとして私の前に立ち現れた。そのことがとてもとてもうれしいし、また再び本田さんの音楽を追いかけていきたいと思った。本田さんは、今は本田海月という名前で活動されている。海月という言葉に、私は因縁があるなぁ(もともと海月が好きだし、Plastic Treeファンは海月と呼ばれている)。ここまで書いて、なんだかもう懐かしくて懐かしくてネットでGV関連、そしてメンバーの現在の情報を求めて彷徨った。時は確実に流れているな…。でも今ならすべてを受け入れられる気がする。時は忘却、時は和解、時は残酷。これから、空夜のアルバムを集めていこうと思う。


9月11日

院の友人たちと西荻窪でランチ&散策。音羽館、花鳥風月で本を一山購入。今まで知らなかった古本屋「猫の手」にも初めて行った。久々に西荻窪を歩いて、アンティーク家具熱が復活するのを感じる。今日はアンティークショップは覗かず前を通り過ぎただけだったので、また今度アンティークを中心とした西荻散策をしようと思う。主催者のお宅にもおじゃまし、かわいく元気なわんちゃんにご対面。新しい繋がりがいろいろとうまれて、とても楽しい一日でした。

本日の戦利品。中村雄二郎『共通感覚論』(岩波現代文庫)、本田和子『異文化としての子ども』(ちくま学芸文庫)、梅田望夫『シリコンバレー精神』(ちくま文庫)、阿部日奈子『海曜日の女たち』(書肆山田)、野中ユリ画集『妖精たちの森』(平凡社)、『リンダ・マリンズのアンティークテディベア』(文化出版局)。音羽館は相変わらず品揃えがよく安値で素晴らしい。


9月13日

急に冷え込んだので、体調を崩しました。風邪薬を飲んだけど…うーんフラフラする。今日はとりあえずさっさと寝ます。ベルギー王立美術館展に行ったけど、感想は体調が回復してから。あとムットーニの上演会のDMも来たけど、チケットを買いに行く暇がありません。えーん、今回は行けるかしら。


9月14日

まだまだ風邪気味続行中。でも根性で明日中には直してやる。だって、夜にライヴだもん。

にざかな『4ジゲン』1巻を読了。にざかな、復活。読んでみて、『B.B.Joker』ほどキャラが立っていないのが弱さになっているなぁと思った。面白くないわけではないけど、どうしてもB.B.Jokerと比べてしまう。これからだんだん化けてくるかな。ちなみに現在の登場人物の中では一ノ瀬あやめと無口な絵描き少年がわりと気に入っています。ともかく、これからも小綺麗な絵でエグいネタを繰り広げるにざかなワールドを堪能できるのがうれしい。ついでに、二人の不仲の赤裸々な舞台裏ネタも続くんだろうな。どっちも期待しています。


9月15日

CursiveとThe Velvet Teenの来日公演に行ってきました。結論から言えば、全く知らなかったCursiveの方はすごくよかった!The Velvet Teenは……うーん物足りないかも。The Velvet Teenは、やっぱりアルバム「Cum Laude」の音楽性が好みではないということに尽きるのかな、と。予想通りCum Laude中心のセトリではあったけど、私の大好きな1枚目・2枚目のアルバムからの曲も演奏され、その時はすごくいいなと思ったので。私はメタルもラウド系の音楽も、エレクトロニクス系も好きな人間なので、彼らの今の方向性自体を否定しているわけではない。でも、「Cum Laude」は好みとは外れている。この一枚で判断するのは難しいので、あともう一枚二枚様子を見てみないとダメかな。はっきり言えば、最初の二枚みたいのがまた聴きたいなというのが本音。でも彼らはそう簡単には戻らないだろうなぁ。とステージの上に立つ悪ガキくさいジュダを見ながら思いました。バンドの演奏自体は悪くなかったけど、曲と曲の間が空きすぎで間延びしたのは残念。あとマリオの曲とかを流していたけど、私には不必要な演出に感じられてしまった。ジュダは最初の方では拡声器を持って歌ったり、タンバリンを叩いたりしていましたね。3枚目のアルバム曲でいいなと思ったのはTokyoto、Noi Boi、Building A Whale、In A Steadman Spray、Gyzmkidあたり。「Out Of The Fierce Parade」ではA Special Gift To You、「Elysium」ではPenicillin (It Doesn't Mean Much)を聴けたのがうれしかった。なんか否定的な感想ばかりになってしまったけど、VTは応援しているし、これからの活動次第を見守ろうと思っています。Cursiveは予備知識なしに見たのだけど、楽しかったし楽曲自体も非常に好みだった。さっそくCDを入手しなければ。USインディーズバンドは今まであまり詳しくなかったけど、これをきっかけにもっとアンテナが広がっていくかもしれません。

それにしても疲れている&時間がない・精神的余裕がないと日記もレポもろくに書けないみたい…。日記、超適当ですみません。本当はもっと書きたいことがあったけど、PC画面を見ると脱力する。しばらくこの状態が続くかも。

 

 

 

 

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