3月18日

日記が少し止まっていました。まあ何があったというわけでもないのですが…少し落ち込んでいたのかも。疲れていたのかも。予定をいろいろとキャンセルしてしまいました。

『失われた時を求めて1 スワン家の方へI』(集英社文庫)を購入。ついに、ついに、鈴木道彦訳の『失われた時を求めて』が文庫化。ううっ、この時を待っていたよ…(感涙)。前回読んだ時は単行本の刊行に合わせてちびちび読んでいったので、今回は一気に再読したいなあと思っています。なので、しばらくは文庫を買い集める方に専念。あと探していた『クレーの日記』も購入。忙しいので、これもしばらくは積読になりそうです。

最近ははかばかしくない日々を過ごしているわけですが、日曜はプラのライヴだし(なんとなく今回のツアーはよさそうな予感。予感が当たるといいな)、月曜にはジェーンの夏物のカタログを見に行くし、楽しいことが待ち受けているのだから元気にならないと。


3月20日

Jane Marpleの夏物のカタログを見てきました。全体としてはポップ&派手。春物よりさらに弾けていて、柄好きにはたまらない感じかと。ロゴシリーズのリバイバルの他、リニューアルオープンのノベルティにもなっていたいちご柄、さらに外国のお菓子の包装紙をイメージしたというチェリーシリーズ(アメリカンな配色が超キュート)、リアルなパフェやらプリンアラモードが描かれたSweetsシリーズなどなどがありました。ただ私はこういうかわいい柄が似合う人じゃないので、ほとんどスルー。でもロゴシリーズだけはどうしても気になってサンドレス・ロゴバッグを予約してしまいました(色は全部ブラック)。だ、大丈夫かな、地味顔の私が着こなせるのかな。ちょっと不安。あとはマリンっぽい籠バッグ、さらにアクセも数点予約しました。夏のカタログは帽子が豊作でしたねー。あまりにたくさんありすぎて逆に予約できなかったので、店頭で見て決めようと思っています。あと予約はしなかったけど、水着がすごくたくさんあって余裕があれば買いたいほどでした。ああいう柄のキュート&派手な水着をかわいい女の子が着たら絶対素敵!太ってる私は水着なんて絶対無理ですが。春はドンルにときめきましたが、夏のドンルは全体として見るとイマイチ。今回はジェーンの方がいいな。結局今回は小物メインの予約で、服はサンドレス一枚という結果に。着回せそうなアイテムは、実物を見て店頭買いの予定です。春はレースに走ったから夏は頑張って柄物にチャレンジしたけど、これが吉と出るか凶と出るか。似合わなかったら泣けますな。


3月23日

久しぶりにぐでぐでになっています(現在進行形)。だるいなあ、しんどいなあ。完璧無気力な状況で修羅場というのが死にそうにつらいです。何もこんな時に絶不調にならなくても。

というわけで引きこもっているのですが、最近の楽しみはフィギュアの世界選手権です。特に男子シングル、燃えてます。先日あったSPは本当に面白かった。普段自爆しちゃうような人たちが最高の演技をしたり、PBベストを更新する人が続出だったり、まさに手に汗を握る展開でした。個人的にはSPトップだったブライアン・ジュベール、あとは中国のチェンジャン・リー、そして日本の織田選手の演技に感動したかな。明日はFS。結果が楽しみです。


3月26日

25日は素晴らしい散歩日和だった。池袋で待ち合わせをして、よしながふみの『愛がなくても喰ってゆけます。』に載っている飲茶のお店へ行く。体調が万全ではなくて食べ放題にも関わらず思う存分食べることができなかったのが残念だが、とてもおいしかった。次こそはリベンジを。そして東京メトロの一日乗車券を購入し、皇居周辺を散歩。その後は神楽坂。池袋に戻りパルコや東武を流してウィンドーショッピング。とても充実。久しぶりに吸った外の空気が気持ちよかったです。いい加減引きこもりをやめようと思いました。

スケートの世界選手権、終了。女子シングルはいろいろな意味で「……」でしたが(それでも日本選手の活躍は素晴らしかった)、それに対して男子シングルはもう本当に興奮。久しぶりに燃えた試合でした。ランビエールの二連覇、そして不調からようやく復活したジュベールが銀(あのがっちりした体型でびしっとクワドを決めるのは爽快)、織田の4位も残念なミスがあったとはいえ大健闘。怪我で後半はボロボロになっていたけど、ジョニー・ウィアーの演技にも心打たれました。男子シングルが盛り上がったので自分のなかでフィギュアブームが来ています。選手はそれぞれ個性があって好きな人はたくさんいますが、やっぱりナンバーワンはロシアのアレクセイ・ヤグディン…かな。今でもたまにソルトレイクの「Winter」「仮面の男」を見直します。でもこれらばかりではなく、ヤグには他にも素晴らしいプログラムがたくさんありますよ。グラディエーター、くるみ割り人形etc…。プルシェンコとヤグディンが死闘を繰り広げていたあの時代は、奇跡でした。今更ながらにヤグ熱が高まって、自伝を買おうかどうか迷ってます(笑)。この人人間的にはとってもダメなところがあるのですが、そのダメさも愛おしいですね、はい。ペアはいまのところそこまで興味はないのですが、先日1984年のサラエボオリンピック金メダルのトービル&ディーン(イギリス)による伝説の演技「ボレロ」を見て鳥肌が立ちました。すべての審査員が芸術点で6.0満点を出したというのもまた伝説です。ラヴェルのボレロのメロディーもとても好きです。リズム自体は単調なのに、音から沸き上がるめくるめくイメージがたまりません。スケート熱のおかげでクラシック熱も少し復活しそうな予感。


3月27日

昨日の日記を書いた後、アマゾンでヤグディンの自伝をぽちっと注文してしまいました。嗚呼、今更ヤグにはまるとは。本人アマ引退してるのに、ソルトレイクオリンピックから4年も経っているのに…。たまに忘れてしまうのですが、実はヤグディンは私より年下なんですよね。早生まれだから、学年で言えば一緒ですけど。もともと老け顔というのが実年齢より上に見える一番の要因でしょうが、でもそればかりではなく氷の上に立つとほとばしる王者の風格は凄まじい。ソルトレイクの映像を見ても、とても21歳の人には見えません。私も最初は25、26くらいの人かと思っていましたし。俺様オーラ、王者の貫禄。決して順風満帆なスケート人生ではなかったけれど、もともとある才能に加えて血の滲むような努力の末に、帝王として君臨し続けました。タラソワコーチと出会い、素晴らしいプログムラに恵まれ、ソルトレイクでは伝説となる素晴らしい演技を見せました。今でもヤグディンファンが多いのも頷けます。自伝は明日くらいに届くかな。楽しみです。

忘れないようにメモ。明日からe+で『アンデルセン・プロジェクト』のプレオーダーが開始。必ずエントリーするように。ロベール・ルパージュがまた日本にやってくる!私の数少ない演劇鑑賞の中で、不動の一位を占めているのがルパージュが演出した『月の向こう側』です。そのルパージュを、また見ることができるなんて。お知らせメールが届いた時、目眩がしました。今度もよい作品でありますように。ルパージュ・マジックを見ることができますように。

25日のウィンドーショッピングの覚え書き。spick and spanのGジャンが一番好み。アーノルドパーマーのマリンカーディガンがかわいすぎ。今期のsunaokuwaharaが素敵。今の私の甘甘路線のテイストとはちょっと違うけど。数年後、こういう系統のアイテムも取り入れていきたいなあ。でも夏は服をあまり買わないつもりなので、そのことを忘れないように!今期はジェーンの予約品だけで済ませたいところです。まあさすがにそれは無理でしょうが、せいぜい靴下の衝動買い程度に留めておきたい。


3月28日

ラフォーレ原宿で開催中のブライアン・イーノ音楽映像インスタレーション展「77 MILLION」へ出かける。入口付近にイーノがテレビを用いたインスタレーションに至った経緯など面白いテキストが展示されていたけど、疲労のため目が泳いであまり頭に残らず。私はザルか。そんな感じでぼんやりした頭のままふらふら歩き回っていたのだが、出口付近の展示(椅子が置いてあり、座って見ることができる場所)が一番気持ちよかった。大小のテレビに映し出される映像。そして左右と床に配置されているミラーにより、映像世界はさらに拡張する。ぼんやり眺めていて、ふと「鏡面世界」という言葉が頭に浮かぶ。ブライアン・イーノの音楽は好きで、部屋でもよく聴いている。もうちょっと状態のいい時に行けばよかったかなと思ったが、出かけてよかった。あとお金に余裕があれば会場で販売されていたカタログ+ROMを購入したのが、プラのDVDで5千円出費した後だったので取りやめ(イーノの作品も5千円だったから)。ビデオアートといえば、6月にはワタリウム美術館にてナム・ジュン・パイクの展覧会がある。こちらも楽しみ。

展覧会の後は大学へ出かけてミーティング。未だに後期の授業を引きずっているというのはなんだかなあ。4月にさらに発表会があるというのも私としてはとてもしんどい。もういい加減、修論に集中したいのに。いつまで経っても終わらず次々に話しが発展する授業は疲れる。ためになる部分もあるけれど、いい加減に解放してくれという気分だ。


3月29日

如月小春の戯曲『DOLL/トロイメライ』(新宿書房)を読了。今日は、DOLLの話し。トロイメライはまた明日。

読了した感想としては、「トロイメライ」の方がずっと好き。でも、私が中学生、もしくは高校生だったら…と想像してしまう。きっと私は、「DOLL」の世界に惹かれていたことだろう。5人の、ごく普通の少女。類型化されたように、よい子、ガリ勉、不良などと性格づけられている。寄宿舎で暮らすごく普通の5人の女子高生が、海へと消えて行く。そんな、集団自殺の物語。自分の中にも昔はそんな衝動があったことを微かに覚えているが、しかし私は変わってしまった。この時期特有の切れそうに細い、糸のような神経を持った、10代の少女ではないのだ。私は、この時代を完璧に通り過ぎてしまったのだ。だから、この物語の中に入っていくことができない。心の震えを共感することができない。自分が変わったことには前から気づいていたのだけれど、この事実を徹底的に思い知らされたのは、初めてのような気がする。戯曲を読み終わって「昔の私なら…」というのが第一の感想だったことに、我ながら愕然とした。鈍くなった/強くなった/意識的に?/無意識のうちに?/「死にたい」という言葉は今では単なる口癖のようなもので、この言葉にさして重みはない。でも昔は、「死にたい」という言葉は本当に「死にたい」という意味だったのだ。今の私の「死にたい」という言葉は、ふわりと透明だ。地面へ垂直に突き刺さる身体を想像し、重力加速度を込めて呟いていた、あの頃とは違うのだ。

今まで書いた文章は、あくまで戯曲を読んで想った私の感想。自分を主人公たちに重ね合わせ、同一化するのは不可能だというその事実を述べただけ(当たり前だ。私はもう26歳なのだ。完全にシンクロできる方が、それはそれで問題がある)。だがDOLLを演出されるものと見なした場合、この脚本には非常に関心がある。いつか機会があれば、DOLLを観てみたいものだ。などと思いつつ如月小春とDOLLで検索していたら、こんなものを見つけた。ネット上にこんなテキストがあるなんて。感動。そういえば川本三郎の何かのエッセイの中に如月小春のDOLLについて触れていたものがある。今度、それを探してみよう。死にゆく少女の系譜で言えば、柳美里の戯曲『魚の祭』がある。これも10代の頃、とてもとても好きな作品だった…。今の私が読むと、どんな感想を持つのだろう。あのあわあわとした透明な情景に惹かれるのか、それともDOLL同様の感想を持つのだろうか。

DOLLは中・高校生から圧倒的な支持を受け、演劇部などで頻繁に上演されているという。その理由は、非常によくわかる。しかし理解はできるけど、共感はできなくなってしまった。思春期と少なからず関わりのある闇や暗黒面は、私の中から抜け落ちてしまった。だが一度闇へと足を踏み入れると、人間はなかなかそこからは抜け出せないものだ。私は新たな闇を創造し、そのほの暗さを半ば心地よく思いつつ、こうして生き続けている。闇は、決してなくなることはないだろう。それでも、私は生き続けるであろう。以下に引用するのは、DOLLのラストシーン。

「よく笑う、明るく、無邪気で、家庭にもこれといった問題もなく、成績も普通、何もない、と言ってしまえばそれまでの、」「何もない、と言ってしまえばそれまでの、」「少女がいた、いたかもしれない、と言ってしまえばそれまでの、」「言ってしまえばそれまでの、日々があった、あったかもしれない、」「何も、何も起こらなかった、起こらなかったかもしれない、明るい晴れ間、樹々は芽ぐみ、葉おいしげり、枯れ落ち、幹、天を射ぬき、そうして季節移ろう日々、それだけの時代、だったかもしれない、」「かもしれない、としても、いつしか雨、」「雨からみぞれ、」「みぞれから雪、」「雪から再び雨の海岸沿いの道を長い長い長い葬列が海に向かって歩いてゆくのが見えています。遺体はまだ見つかっておりません。捜索は続いております。が、しかし波は寄せ、波は寄せ、波は寄せ、足跡を消してゆきます。早や今日の日も時刻は夕暮れとなり、ゆっくりと、ゆっくりと、江の島がかすみはじめています。」「こちら現場、こちら現場、」「だが、未だ、行きつきはしない葬列と、」「みつかることのない遺体、」「ゆっくりと、」「ゆっくりと、」「ゆっくりと、」「とどめようのない波に洗われて、何かが終わるかもしれない。」「かもしれない、と言ってしまえばそれまでの、それまでの私の上に、雨が降っております。もう肩がぬれました。瞳がぬれました。何も見えません。動くこともできません。」「だがしかし、もうしばらく、もうしばらく探索を続けたいと思います。何故、」「何故、」「何故、」「少女たちは水になったのか。」「こちら現場、こちら現場、現場には雨が降っています。世界中、本日、雨の模様です。」「雨の模様です。」


3月30日

先日注文したアレクセイ・ヤグディン自伝『Overcome』が届いたのでパラパラめくってみました。時間がないので今は通読している暇がないのだけど、なかなか面白そうな内容です。今度、暇な時にヤグの動画で演技を見ながら試合の時のコメントを読んでみようっと。才能と、それを上回る努力と、強烈な精神力と、そして困ったちゃんなパーソナリティーも「おいおい」と思いつつもやっぱり好きですね。俺様ヤグ様素敵。それにしても氷の上だと絶品美しいのに、降りると途端にもっちり芋な兄ちゃんになるのがなんとも。なんでこんなに激変するの?(笑)氷上マジックが消えるから?洋服のセンスがないから?どうやら5月14日にヤグがアイスショーでさいたまスーパーアリーナに来るらしいですが、この日はテナーを見にNHKホールへ行くので無理。。アマ時代とは違うとはいえ、生ヤグ見たかったよ…。今日は、2001年の世界選手権のSPの動画を何度も見ています。音楽はショパンの「革命のエチュード」。最初はそこまでいいプログラムだと思わなかったけど、何度も観ると引き込まれるなあ。「Winter」のような判りやすさではないけれど、これもかなり好きだ。


3月31日

桜を見に、上野へゆく。ぼーっとしている間に、こんなに満開になっていたなんて。桜を見上げては、物思うような、その実考えることなんて何一つなく頭は空っぽなような、そんな気分。人混みが苦手だから、上野の桜は本当はそんなに好きじゃない。でも、毎年見にゆかずにはいられない。人が密集する公園の中を抜けて芸大方面へ出ると、一気に人影が減る。ここの通りにも桜があり、酒の匂いもざわめきもなく、穏やかに眺められるのがうれしい。

今の時期は骨董市も並んでいて、これも毎年の楽しみだ。今年は謎の理化学道具(小さなビーカーと思われるが、変な形をしている)と、ガラクタ楽器を購入。トイピアノ、手風琴などと合わせてからくり式楽器団のような写真が撮りたいなあ。まあ、被写体がいないから当分無理でしょうけど。自分の作りたい・撮りたい世界観は強烈にある。でも人間相手の作業が私は苦手。自分の作りたい世界を手軽に演出するなら自分がモデルになればいいんだろうけど、それは絶対嫌だしな(写真撮るのは好き。でも撮られるのは嫌い)。誰かの作品の空間演出のお手伝いとか、そういう方面ならできるのかな。いつか機会があればいいな。

上野からの帰り道に桃林堂へ寄り、小鯛焼ともなか、そして草だんごを購入。家に帰って京都の柳桜園で購入したお抹茶「小櫻」と一緒にいただきました。なんだか、桜づくしだ。如月小春の「トロイメライ」についてはまた明日にでも。重いテキストを続けて書くのはしんどいなと思って、わざと間を作りました。

 

 

 

 

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