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★2月16日★ ★ようやくリニューアルオープンしたJane Marpleへ行ってきた。以前の4.5階から2階へと移動したので、延々階段を登らなくて済むのは大変ありがたいのだが…店舗の雰囲気ははっきり言って以前の方が好みで、足を踏み入れてかなりがっかりしてしまった。今は階段に近いこともあり、とてもオープンな感じ。目の前のレストローズからそのまますーっと自然に入っていくことができそう。照明も明るく、シンプルでクリーンな雰囲気だ。もちろん随所にジェーンらしさはあるのだが、重厚さが好みの私からすればこの雰囲気は物足りない。今は春物が店頭に並んでいるから軽やかな雰囲気の店内とマッチしているけど、秋冬はどうなんだろう。否定的なことばかり書いているけど広々とした試着室が二つも出来たり、一見さんにも入りやすい店舗作りになったり、アパレルメーカーとして考えればまあ妥当な選択なのかなあと思わないでもない。でも雰囲気命のジェーンの本店なのだから、もっと孤高でいてくれてもよかったのに(今は買物システムばかりが孤高だ)。旧店舗はもうないのだというのが今更ながら実感できて、ショッパーを抱えて店舗を後にした時、なんだか泣きたいような気持ちになった。もう二度と、あの光景を見ることはできない。白い壁に囲まれた、途方もなく入り難き空間。ラックに並ぶ洋服たち。初めて足を踏み入れて、「ここの服を身に纏いたい!」と思った時のときめき。ファンタジーをそのまま具現化したようなその造形に打たれて、以後私は坂を転がり落ちるようにジェーンへひた走ったのだが…。服が欲しいからJane Marpleで買物をしていたのではない。夢が欲しかったのだ。予約したドロワーズやレースカーディガンを受け取りつつ、心の中では旧店舗の面影ばかりが去来した。 改めて春物を見た感想だが、やっぱり私の好みとはずれるなあと思った。ただこれは大物についてということかも。そこまで爆発的に人気は出ないだろうなという手堅く地味なアイテムが、逆にとてもツボる。帽子スキーなので麦わら帽子がとても気になったのだが、まだ予約しているアイテムがあるのと当分麦わら帽子の出番がなさそうなのでひとまず見送り。でもすごく好みのデザインだから、3月以降も残っていたら間違いなく買う。頼む、残っていてくれー。リニューアル時にノベルティを配布したそうで、こんな遅くに行くからもう残っていないだろうと思っていたけど、ちゃんといただけました。ジェーンのロゴ入りのかわいらしいイチゴ柄のハンカチで、箱にはハンカチの他本物のイチゴの種も入っていました。実際に撒くことはないと思うけど、こういうのはうれしいな。今はまだ新店舗になじめていないのだけど。これから何度も買物をしていくうちに、自然となじむのだろう。でも忘れないようにしなければ。いや、忘れることなんて出来やしない。私が初めてJane Marpleに出会った、あの場所を。 ★2月19日★ ★忙しかったり、体調が悪かったり、なんとなく落ち着かない日々が続く。レポートを抱え込んだ状態で風邪をひいてしまい、結局18日の唱歌ライヴはキャンセルしてしまった。ああ、しょんぼり。せめてドール展にだけは出かけようと思っています。 ★今日は「書の至宝展」に行ってきました(また最終日に駆け込み)。人が多すぎてゆっくり見ることができなかったのは残念だけど、甲骨文にはじまる中国における書の発達、そして中国に影響を受けつつ書を磨き上げていった日本の対比が興味深かったです。書については、これからもっと考えていきたい。 ★C・G・フィニー『ラーオ博士のサーカス』(ちくま文庫)を読了。幻想に徹している小説ではないし、自分にとって「圧倒的で完璧な小説」というわけでもないけれど、それでも妙に印象に残る作品だ。小説の最後に「カタログ」と題した登場人物解説(人に限らず動物や神、そして工芸品やら食べ物まで)が載っており、その中身がというよりこれをつけたこと自体に私は興味を持つ。このカタログには「わかりきった事についての解説、読まなければよさがわからない」と人を食ったような文章が添えられている。蛇足に見えるこのカタログの存在が、なんだかとても気になる。ああ、そうなんだ。きっと私はこの世界をカタログ化したい欲望を持っているのだ。 ★2月21日★ ★疲れた。。三日間くらい、ひたすらおにぎり食べつつベッドの中で本を読み続けたい…。 ★シオドア・スタージョン『夢みる宝石』(ハヤカワ文庫)を読了。鉱物幻想愛好者ならば、もっと早くに読んでおくべきだった一冊である。読了後、後悔の念に襲われた。この本については、実は相当昔から知っていた。きっかけは鉱物特集の夜想33号。これの発行が1996年だから、ちょうど十年前のことになるのか。調子が悪いので本のレビューめいたものは書けないけど、フリークス・カーニバル・夢みる水晶と私の好きな要素がたくさん出てきて、なおかつ素敵にクレイジーな小説だった。幻想文学とSFが混じったような、ハイブリッドな感じ。現在スタージョンがとても気になっているので、次は『人間以上』を読もうと思っている。 ★2月22日★ ★大丸ミュージアムにてパウル・クレー展「線と色彩」を見る。行ってよかった…。感動。クレーはもともと好きな画家だったけど、作品自体は前にも少し見たことがあるとは思うのだけど、こうしてまとめて作品を見る機会は初めてでした。実物を見て、さまざまなことを想いました。私は今後、よりクレーにのめり込むことでしょう。とりあえず『クレーの日記』を古本で探して読もうと思っています。 これだけだといくらなんでもお粗末なので、もう少し展覧会の補足を。今回の展示は2005年にスイスの首都ベルンにパウル・クレー・センターが開館した記念の展覧会だそう。実際会場内でもセンターの紹介がされてた。建築を手がけたのはレンゾ・ピアノで、銀色に波打つ形がとても特徴的な建物。中はただ単に美術館ばかりではなくワークショップを行ったりすることができる、複合的なアートセンターになっている。 展示全体としては、クレーの「線の探究」に力点が置かれていた。今まで全然知らなかった初期の仕事である『ガンディード』の挿絵なども展示されていて、面白かった。…すみません、ここまで書いた時点で力尽きました。あとはもう省略ということで。なんでも今年の6月に千葉の川村記念美術館でまたクレーの展覧会があるそうなので、これにも出かけようと思っています。ただ川村記念美術館、遠い…。でもクレーのためなら出かけます。この時までに、日記にもう少しまともな感想を書けるようクレーの勉強をしておきます。 ★毎日毎日日記に同じことを書くのは嫌なんだけど、疲れた…。この疲労感は尋常じゃない。今日友達と話していて、「それストレスだよ」と言われました。それだ!ストレスでこんなに心身を蝕まれているんだ。でもなあ、ストレスの原因は取り除けないし、一番の対処法はやり過ごすことだし。それにしても就職活動もしていないのにストレスに蝕まれているなんて、私はどんだけひ弱なんですか。オリンピックのアスリートたちを見て、メンタルの強さは大事だと実感している今日この頃です(私自身はメンタルめちゃめちゃ弱い)。はぁ、一体どうしたもんだか。 ★2月25日★ ★京都旅行初日。24日の夜に夜行バスに乗り込み、朝の7時に京都に到着。しばらく喫茶店んで時間をつぶした後、宿に荷物を預けて京都観光を開始。 最初は伏見稲荷大社へ。朱の鳥居、参拝者を見つめるの石の狐たち。ここは異空間だ。何かの気配がする。人ではないものの、濃密な気配がする。それゆえ感覚が研ぎすまされ、心が浮遊する。幼虫社の「きつねのよめいり」のメロディーを思い出しつつ、歩いていました。 この後は三十三間堂、知積院、豊國神社へ。三十三間堂はやっぱり圧巻ですね。最近ちょっと仏教に興味が出てきているので、このあたりの知識をもっとつけたいなと思いました。知積院には長谷川等伯の描いた障壁画が納められているのだけれど、これがよかったです。あまり桃山時代の美術は好きではないのだけれど(だって金ぴかで派手なんだもの…)、この作品は好きでした。湿度調節がきちんとなされた小さな居心地のよい室内に障壁画が並んでおり、見る環境としても申し分ないものでした。また名勝庭園もよかったです。人もあまりいなくてとても静かで、知積院はかなり穴場かも。豊國神社は豊臣秀吉を奉祀する神社で、徳川の時代に破壊されてしまったのを復興して現在に至ります。宝物館も見たけど、まあなんというか全然保存に気を使っていなさそうな雰囲気で(入口の直射日光の当たるところに紙資料を置いていたり、目が痒くなるほど内部が湿っぽ埃っぽかったり)、これはどうなんだろうと思ったり。朝鮮出兵の時に、討ち取った人たちの耳を塩漬けにして日本へ送り、それを祭ったという耳塚がありました。 そして大好きな本屋、恵文社へ。ここに来ると、いつも幸せな気持ちになる。店内をゆっくり見回って、小林健二『地球に咲くものたち』展のカタログ(岩手の「石と賢治のミュージアム」で開催されていた小林健二さんの鉱物コレクション展は見に行けなかったので、カタログだけでも手に入ったのはうれしい)、山下陽子貼畫集『詩人の訪問』、未生響『詩的遊戯術』(啓祐堂の「黄金の驢馬」の連載を愛読していたので叢書の一冊としてまとまっているのを見つけて即座に手に取った)、そしてミニコミ…なのでしょうか『箱庭』の1号を買いました。ああ満足。 ★2月26日★ ★京都二日目。まずは「京都万華鏡ミュージアム」へ。実際に見てみたら期待したほどいい万華鏡がなくて正直に言ってがっかりしたのだけど、大好きな万華鏡作家の角敏郎さんの作品を見ることができたのでそれはよかったな、と。ダストボックスの中を覗き込むような、斬新なデザイン。中身は、幾何学的でとても美しいのです。端正でクールな外見と、内部の美しさはさすがでした。でも全体的に見て、日本の万華鏡作家より海外の作家の方が好きだなと思いました。日本の作家は万華鏡の形やデザインにやたらと凝るけど、肝心の中身が美しくないもしくはしょぼいというタイプが多いので…。それは本末転倒だと思う。そういえば私のコレクションも、基本的に海外作家のものが多いことに気づきました。こういうところに原因があったのだろうなあ。 お昼を食べた後は、アンティークショップ巡り。京都文化博物館の前にある「COM」というお店で、とっても素敵な学習机を発見。価格もわりとお手頃。買おうかすごくすごく迷って、その前に本棚を買って部屋を整理しないと机を入れる場所がない…と思って今回は心を鬼にして諦めました。アンティークとの出会いは一期一会。すごく好きだから今無理しても買っておいた方がいいんだろうな…と本能が告げているので苦しいのですが、今回ばかりは我慢です。ううっ、悲しい…。 その後はプラのFCイベのために大阪へ移動。会場のBIG CATでチケを引き換えてから、開演まで近くのハレハレという喫茶店に入りました。日本家屋を改造したお店は、とても落ち着きます。この空間、いいなあ。ゆず茶と豆乳ぜんざいをいただきましたがどちらも美味。おまけに、ネットでHPを拝見している川島朗さんの展示が行われていて偶然に本当にびっくりしてしまいました。調べて行ったならともかく、何も知らずに大阪へ出かけて、たまたま通りかかって気になった喫茶店に入ってみればそこで展示会が開催されているなんて。何かが仕組んだとしか思えないような出来すぎた偶然でした。プラのFCイベについてはまた別項で。楽しかったですよ。最近のライヴでは聴けない、古い曲が演奏されました。「月世界」がランキングの一位でした。バンドの轟音を背景に、ふわふわと漂う太朗さんのボーカル。ああ、私の大好きなプラだ、そう思いました。 ★2月27日★ ★京都3日め。さすがに疲れてきたので、午前中は宿でダラダラ。昼頃から行動を開始しました。まずは以前から行きたかった島津創業記念資料館へ。島津製作所はノーベル賞を受賞した田中耕一さんのいる会社…と言えばわかるでしょうか。この資料館は島津製作所創業100年を記念して作られたものなのですが、レトロ理化学器械が好きな人ならば必ず訪れるべき所です!ガラス棚の中にずらりと並んだ器械類は圧巻。私はもう興奮しっぱなしでバシバシ写真を撮りまくってました(笑)。明治や大正の理化学器械ってどうしてあんなに素敵なんでしょう。カタログあったら絶対買ったのになあ。残念。とまあそういう自分の趣味嗜好は置いておくとして、初代島津源蔵、発明の天才だった二代目島津源蔵、日本の近代化と殖産興業、そして京都という場所について、いろいろと勉強になりました。ここは非常にお勧めの場所です。興味がありましたら、ぜひぜひ。 この後はアスタルテ書房へ。アスタルテの本は基本的に高い。でも品揃えがいいので、ここで買いたいと思わせる雰囲気はあるなあと思う。私自身は「他の場所でもっと安く買えるしな」と思って幻想文学系の本は決してここでは買わないダメな人ですが。店内をぐるりと一周し、佐野史郎の小説『ふたりだけの秘密 ーあるいは、自転車・写真機・警報器』(筑摩書房)、『定本・野田秀樹と夢の遊眠社 1976〜1992』(河出書房新社)、そして金子國義のポストカードを数枚購入しました。佐野史郎の小説は装幀挿画が金子國義です。佐野史郎は好きなので、読むのが楽しみ。夢の遊眠社は、もう叶わないけど一度生で見たかった劇団です。NODA・MAPは見たことがあるんですけどね。でもやっぱり、夢の遊眠社の方に興味があります。 アスタルテ書房の後はクリスタル・ワールドへ。京都へ行くと訪れる鉱物のお店です。今回は厳選してアンモナイトを一つだけ購入しました。とてもきれいな渦巻きです、ふふふ。この白くてきれいな化石を、本棚に飾ります。エロティックな少女のポストカードと並べてね。 夕食はクリスタル・ワールドの近くの電気ブランを出しているお店でいただきました。オムレツがとても美味しかったです。電気ブラン、また飲みたいなあ。東京に戻ったら、浅草の神谷バーへ行こうっと。 ★2月28日★ ★(後日書き直し)平安神宮→南禅寺→柳桜園→イマン京都店アン・ルフュージュ→ソワレ→みゅーず |
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