11月2日

憂鬱な11月の始まりだ。

アマゾンからのメールでケイト・ブッシュが12年ぶりにオリジナルアルバムを発売したことを知る。『エアリアル』、気になっているけどセキュアCDでMacに対応していないので購入することはないだろうな…。うーん、でも聴きたい。私はいまだに『ドリーミング』が怖いです。すごいアルバムだとは思うけど、まだ心底好きとは言い難い。今度久しぶりに聴き直してみるのもいいかも。

深夜、埃にむせながら本の詰まったダンボールを引っ張り出してきて蔵書整理をする。最近仕舞い込んでいた科学史関係の本も少し発掘してきた。文庫の山の中から須賀敦子の『ヴェネツィアの宿』を見つけたので、「大聖堂まで」を読み直す。


11月3日

レオナルド・ダ・ヴィンチ展へ行く。以下レスター手稿に関する覚え書き。レスター手稿は18枚、全72頁。94年にビル・ゲイツが購入し、現存するダ・ヴィンチの手稿の中で唯一個人蔵のものである。レスター手稿は晩年の科学的観察や思考がまとめられたノートで、すべて鏡文字で書かれている。ノートの内容は天文学、地球物理学、水力学と大きくわけられるが、その中でもとりわけ水力学に関する記述が多い。ダ・ヴィンチにとって、水に対する思考が彼の科学観のベースになっているのではと思わされるほどである。今までは自分の関心から天文学や機械工学・地球物理学といった方面ばかりに注目していたけれど、少し認識を改めなければいけない。

展覧会を見終わった後、レスター手稿全紙葉のレプリカを買う。パンフレットとレプリカが入って3200円はお得。レプリカは写真の小道具として使っても遊べそうだ。最近全然カメラに触っていないのだけど、下手なりにまた写真を撮りたくなってきた。でもその前にデジカメの買い換えかな…(私は完全に道具から入るタイプ)。レスター手稿は彼の書き残した膨大なノートの一部分にしかすぎない。彼はまた絵画でも素晴らしい仕事を残しているわけだし、改めてダ・ヴィンチは面白いと感じた。


11月4日

ダ・ヴィンチ展へ行ったついでに、森美術館で開催されていた「杉本博司:時間の終わり」展を観てきた。ダ・ヴィンチ展で気力をあらかた使い果たしてしまいざっと流しただけでこう書くのもなんだけど、個人的にはあんまり…というのが正直な感想。装苑11月号にかなり詳細な記事が載っていて、結構楽しみにしていたのだけれど。体調が悪かったというのもあるのだけど、森美術館の冷え冷えとした空気がやたらと体にこたえた。でもそれは空気の温度というよりもむしろ目に映る色彩で感じた冷たさなのかもしれない。モノクロームの世界はとても好きなはずなのに、なぜだかこの日はなじめなさを感じていた。それは一体なぜなのだろう。こうやって書いていると、展覧会の内容以前に私の体調の問題なのだという気がしなくもない。またミニマムでコンテンポラリーな表現様式というのに私が現在あまり関心がないからなのかもしれない(昔は多少あったけど、今はむしろ逆方向に視線が向いている)。なんとなく、現在の私が求めているものとはズレがあったのかなと帰ってきてから思った。ともかく体調の悪いなかで展覧会二本立てというのはやはり無理だったようだ。こういう中途半端な見方で否定的な感想を書くのは嫌だなあと思いつつ、とりあえず記しておく。歴史、文化、時間、記憶…。さまざまなものが背後にありつつしかし削ぎ落とされた写真たち。またそのうち、ゆっくり考え直してみたい。

「ジオラマ」シリーズを眺めていた時、写真に既視感を覚えて「ああ、これどこかで見たな…。確か伊藤俊治の『ジオラマ論』」と思って家に帰って本をめくってみたところ、やはり杉本の写真が収録されていた。昔この本を読んだ時は杉本博司の名前は知らなかったので、そこまではチェックできなかったらしい。でも写真はしっかり記憶されていた。こうやって、自分の記憶の地層を掘り出していくのは結構好き。考え込むのではなく、ぱっとひらめくように思い出す。その瞬間だけ、思考が澄明になるような気がする。それ以外の時はいつも、頭の中は白濁したままだ。私は通常、ひたすらぼんやりしている。ジオラマで有名なニューヨーク自然史博物館は昔から憧れだった。今もまだ、訪れたことはない。こうしたきっかけでまた手に取った『ジオラマ論』、久しぶりに読み直そうか。

ちなみに六本木へ行ったのは2日です。3日は図書館で勉強で(しかしはかどらないわやる気はないわ、底辺さすらってます)、その後はラフォーレをブラブラ。結局装苑に載っていた斜めストライプの靴下(本来はレジメンバイアス柄オーバーニーと言うらしい)、買っちゃいました。ワンピは買えそうにないから、靴下で我慢(笑)。でも店頭でトルソーがレジメンワンピを着ているのを見て、かなりときめきましたけど。やっぱりあれ欲しいなあ。ネイビー完売しているなら赤でもいいよ。と、未練がましい視線を何度も何度もトルソーに注いでしまったのでありました。さて、今日はテナーのライヴです。でもその前にやなぎみわ展に出かけるかも…。6日までなんです。また終了間際に駆け込み!


11月5日

現在非常に多忙です…。まともに日記を書いている暇はないので、取り急ぎメモだけ。暇を見て後日追加していきます。4日は結局やなぎみわ展、そしてストレイテナーのライヴに行ってきました。やなぎみわ展はギリギリだけど駆け込んでよかったー。カタログも購入して満足満足。テナーのライヴは初めてだったけど、とても楽しかったです。久しぶりに終わると汗びっしょりなライヴに参加しました。多少筋肉痛はあるけど、体がすっきりしました。最近調子が悪かったのは暴れるライヴに行ってなくて運動不足だったからかも、なんて(ライヴ=運動となっているこの図式もどうかと思うが)。新曲が二曲披露されて、本編最後の方の新曲がとりわけよかったです。あと私がテナーを好きになったきっかけであるSTAINED ANDROIDを聴けたのもうれしかったな。本編最後の「新曲→DISCOGRAPHY→KILLER TUNE」の流れが個人的に最高でした。


11月7日

相変わらずバタバタしています。体調もあまりよろしくなくて、たぶん精神的なものなんだろうな…。疲れました、いろいろと。廣重徹『科学の社会史』(岩波現代文庫)を読了。


11月9日

あー、日記が止まってる…。気分は最高に落ちてるし、体調も激しく悪いし、まあそんな感じです。なんかもうダメかもと思って今日はTSUTAYAへ行ってCDをどっさり借りてきました。音源抱えて引きこもり…したいなあ。かなり後ろ向き。コロキウムでの発表を明日に控えた同居人もピリピリしているし、全体的に荒れてる我が家なのでありました。

今頃になって去年のプラの「cell.」ツアーファイナルの生中継映像をダビングしていただいたので、ようやく見ることができました。ライヴは行ってたんですけど、最後列だったのステージが全然見えなかったんですよね。こんな感じだったんだなあって感慨深く見ています。ぶっち君、男前だわ。この日のドラムがすごく好きだったんだけど、こんな表情で叩いていたんだなあ。最近プラテンション下がりまくりだったんだけど、テナーに行ったことで客観的になれたのか、プラ熱が復活しました。このバンドのライヴがすごく好きなんです。思えば最近プラに対してイライラしっぱなしで「好き」という言葉を言えてなかったなあ。今、DVDは「懺悔は浴室で」。本格的にぶっち君が壊れてきたところ。ドラムがすごいです。新潟中越地震の最中のライヴ、そして生中継、「cell.」ツアーファイナルは忘れられない日でした。

あとプラといえばつい最近の動画インタビューがなかなかよかったです。「「ヴィジュアル系」という括りにこだわりがありますか?」という質問もあったりしてね(笑)。ライヴ映像はこちらで見ることができます。映像はミッフィーツアーの札幌ですね。見直したくなったので、自分用にリンクを張っておきます。これ久しぶりのツアーだから、太朗さんのゴリラダンスが少ないかも…。普段はもっと動きが激しいです。こうして見ると、(一名以外は)三十路集団だけどみんな若いなあ。リーダーなんてもうすぐ35歳。相変わらずブリーチ&ヘドバンしまくりですが。これからも変わらずにいてほしいものです。


11月10日

寒くなってきたので、カラータイツの買い出しに行きました。でも遠出する元気はなかったので、近場で買物。今度元気になったらヴィヴィアンのタイツを買いにいこっと。私の心は相変わらず鬱々ですが、東京のきれいな秋の空と光には日々なぐさめられています。最近ずっとこんな調子の日記ですみません。そのうちまた、元気になると思います。今は本当に一杯一杯すぎて、日記すら書いている余裕がないのです。ボロボロ。


11月11日

山口昌男『挫折の昭和史』をぼちぼち読み進めています。最近やたらと眠いです。早くも冬眠モード?体がやたらとだるいのはストレスからきているのだろうなあ。この体調の悪さはどうにかならないものか…。明日は図書館へ行った後は入荷連絡もあったしジェーンへ寄る予定。急激に寒くなったのでセーターが欲しいです。思えば秋冬とスカートばかり買っていて、ちょっと失敗。ワードローブが偏ってしまいました。


11月12日

新潮社編『江戸東京物語 都心編』(新潮文庫)を読了。この頃東京歩きをしたくてたまりません。これって現実逃避?そのうち東京国立近代美術館にアウグスト・ザンダー展を観に行くので、その時にでも久しぶりに皇居近辺を散歩しようと思っています。

ジェーンにお引き取りに行ってきました。でも電車に乗った途端に頭痛がしておまけにものすごい悪寒で、なんかもう死にそうなくらいフラフラな状態で出かける羽目に。そして家に帰ってくる頃には着ていた別珍ジャケットがありえないくらい汗でびっしょりに…。体が壊れているなあ。もう少し精神力を強くしたいものです。今体調が悪いのは、絶対風邪じゃなくてストレスだと思う。モニタを見ると吐き気を催すってダメすぎ。今日は天使チョーカーを引き取ってきたのですが、これって装苑に載ってたものですね。装苑ではブローチみたいに使っていたから、気付かなかったわ。これも結局店頭に並ばなかったようで、予約しておいて正解でした。

最近の音源はなぜかラフマニノフ。ロシアが好きです。


11月13日

吉岡忍さんの小説『月のナイフ』を読んでいます。今はちょうど半分くらいのところ。読み終わるのは数日後かな。感想はのちほどまとめて書きます。先日某所でちらりと吉岡さんのお話を聴く機会があったのですが、とても魅力的な方でした。バタバタしていてゆっくり会場にいられなかったのが残念。

今日は大学図書館へ。休日の図書館は人がいなくて静かで落ち着くなあ。あまりにてんぱっていて、総合研究博物館での展示が今日までだったということに閉館後気付きました。ああ、見逃してしまった…!でもウニはまだやってるからいいや。ウニは見逃さないようにしよう。


11月14日

ネジのチケットが届きました。ネジというのはプラの太朗さんのセッションバンドで、カバー曲をやっています。このジャンルは何て言うんだろう、懐メロ?森田童子の「ぼくたちの失敗」や松任谷由実「春よ、来い」、井上陽水「飾りじゃないのよ涙は」松田聖子「sweet memories」あたりが定番曲なのかなあ。これ以外にもいろいろやるので、太朗さんの音楽ルーツが見える面白いセレクションが楽しめます。自分的には「プラ>個々のメンバー」という感じなので個人活動にはそんなに行っていないのだけど、今回は久しぶりに太朗さんの唄を聴きたくなって、チケを取りました。これがあるから22日まで頑張れるさ…。最近ストレスがひどいせいか、ライヴに飢えてます。この頃忙しくて全然にライヴ行ってない!と思っていたのだけど、よく考えたらテナーはたった10日前じゃない。うーむ。

今日の音源はPlastic Treeの「針槐」。「押し殺してなきゃ ゴミみたいな感情 心の湖 ひきかえす ひきかえす あれは何て歌? 君は何て言った? 最後に知りたくて 聞きかえす 聞きかえす」「ハリエンジュの棘 触れるたびに痛くて 舌を出しあえば 夜は叙情していく」。波のように音とリズムが高まり、そして崩れ、赤く染まったステージの上でボーカルはゆらゆらと揺れ、演奏に一区切りがつき力をふと抜いたギターの姿は、不気味な影となって沈む。狂ったようなドラム。重いベースは、一番醒めているように感じた。すべての音が合わさって、その空間が強く歪む。2004年10月23日、渋谷AXの針槐。この日のライヴ映像を見返していても、全体として本当によいライヴだったなと思う。ツアー初日の出来とは大違いだ。私はファンになってから日が浅くて参戦したライヴ回数がそんなに多くないのだけど、数少ない回数の中でナンバーワンを選ぶとしたら、きっとこの日になると思う。一夜限りの幻のサーカスだったミッフィーツアーのファイナルも自分的には非常に思い入れが強いのだけど、演奏自体はさほどよかったわけではないので、総合ではやっぱりcell.のファイナルだ。過去のライヴの映像を、繰り返し見ています。時間は止まらないし、何もかも変わっていく。無理矢理杭を打ち込んで、その瞬間にすがることが賢いことだとは思わない。さて、次の一歩をどうやって踏み出そうか。私はとてもダメな人間だけど、本当に好きなものを好きと言えるだけの素直さくらいは持ち合わせているらしい。好きなものからは、たくさんエネルギーをわけてもらっています。頑張らないとね。私はとても後ろ向きで、そして微妙に前向き。どんなにネガティブでも、やっぱり前に進みたいのです。

あ、ヌーキキが活動休止するのですね。正直に言ってファンとは言い難かったのだけど…このニュースを知って、少し悲しくなりました。


11月15日

学校帰りに書店へ寄り、雑誌『クララボウ』を買いました。「永遠少女のためのファッションマガジン」とあるけど、大半はロリータ系ですね。でもクラシカル寄りなのでわりと服の系統的には私の好みに近いです。一口にロリータと言っても、そこは細分化されたジャンルがあるわけで。たぶん世間一般から見ればすべて一括りなのでしょうけどね。私はロリでもゴスでもないのだけど、この系統の雑誌はつい買ってしまうなあ。なんでだろう。ファッションというよりこの領域のカルチャーが好きなのかな?後ろの方のデコパージュや手芸の記事が素敵。私も手先が器用だったら、頑張って作るのに。以前オカダヤで購入したリボン類は、きれいに分類されたまま抽斗に仕舞い込まれています…。観賞用、とほほ。自分では作れそうにないから、ガラスの小鳥社のドレスハットはそのうちぜひ購入したいです。あと吉川ひなのさんのお写真がかわいらしい。一番最後のページが『KISSxxxx』のかめのちゃんに見えました。

とまあアホっぽい日記を書いていますが、頭の中は修論発表のことでぐるぐる。だからこそ、日記では全然別なことを書きたくなるんですよ…。そういえば雑誌を買うついでに久しぶりにロイスクレヨンに寄りました。ミニカタログをいただいてきてほくほく。季節柄、パーティーっぽい感じのドレッシーなアイテムが集められています。他にも絵型を見せていただいたり、とても洋服の好みが似ている担当さんとお話しながら閉店までまったりしてしまいました。そんなことしている場合じゃないだろお前、みたいな感じ。今日もきっと徹夜ですわね…。

 

 

 

 

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