8月16日

今はアウトプットよりもひたすらインプットの時期らしい。部屋の中で、黙々とたくさんのものを摂取していく。岡崎京子『pink』『リバーズ・エッジ』、ボルヘス「バベルの図書館」、ノルシュテイン「霧につつまれたハリネズミ」、b-flower『ムクドリの眼をした少年』。あと以前日記でヴィレッジヴァンガードで見て気になっていると書いた写真集を購入した。それはロレッタ・ラックスの『LORETTA LUX』(青幻舎)。写真集はそのうち日記で紹介します。

私はラビリンスの中で生きている。だからもう少し、この閉じた回路のままで。


8月17日

先日プラ日誌の方でちらりと小沢健二の2万字インタビューに言及する機会があって、古い「ROCKIN' ON JAPAN」を引っ張り出してきた。懐かしいなあと思ってぱらぱらめくっていたら、94年9月号にフィッシュマンズの記事があってその中で「ひなぎく対談」について言及があってはっとする。ひなぎく対談のメンバーは草野マサムネ(スピッツ)+佐藤伸治(フィッシュマンズ)+八野英史(b-flower)とか。うわ、この組み合わせ私にとってはすごくおいしんですけど。この号は小沢健二目当てで買って、当時はフィッシュマンズに興味がなかったから記事を読み落としていたんだろうなあ。それにしても自分の手持ちの雑誌の中にb-flowerが潜んでいたとは。今度古本屋でひなぎく対談が載っている号を探してみようかしら。スピッツは今でもよいペースで活動していて、佐藤伸治は早過ぎる死であの世へ旅立ってしまって、そしてb-flowerは活動停止なのか解散なのかもよくわからず消息不明、もしくは消えてしまった状況。三者三様の現在なのだが、こうやって軟弱系無名の若手アーティスト(というの大変失礼なわけではあるが)として対談をしていた時代があったのだ。昔の音楽雑誌を読み直すのはいろいろな発見があって面白い。そして、なんだか切ない。

さて、今日はPlastic Treeのライヴです。横浜まで出かけてきます。今年の夏は(今年の夏も、か)プラ三昧。しあわせ。好きなものに対して一生懸命になれる自分は、割合好きですよ。そのエネルギーをもっと生産的なこと(学業とか生活とか世渡りとか)に使えれば、本当は生きるのがもっと楽になるのだけど。


8月18日

ライヴの疲労で死んでます。17日の横浜が暑くて暑くて…。帰る時に見たら後ろの後ろにいる人まで汗だく状態でなんだか笑えました。私はいつも都内でプラを見るのですが、そうするとキャパが1000以下の会場ではまずやらないのですよね。去年の夏ツアーも横浜へ行ったのだけどその時もやっぱりキャパが1000はあるようなところで、でも昨日のCLUB24は350しか入らないような小さなハコでした。チケは争奪戦、会場内はギュウギュウのすし詰め状態。地方なら結構あるのかもしれないけど私自身はこんな小さなハコでプラを見るのは初めてだったので、いろいろな意味で新鮮だったです。ステージが近いよ、みたいな(でも段差がなくて近くてもステージはよく見えなかったのだけど)。終わった後はあまりの暑さでかつてない程消耗してましたが、楽しいライヴでしたよ。毎度毎度小さいハコで見たいと思うほど私は元気ではないのだけど、とにかくいい経験でした。この日は小さいハコ初体験。初体験が多い夏ツアーになりそうです。横浜ではメジャーデビューシングル「割れた窓」を聴けたのがすごくうれしかったです。97年発売。もう随分昔のことだ。ちなみにシングルは全然売れなかったとか…。でも私はすごく好きな曲です。そういうつらさとか、幾多のゴタゴタを乗り越えて今も歌っていてくれてうれしいですよ。実力で這い上がってきた強いバンドですね。盲目ファンになる気持ちは一切ないけれど、それでも私はプラがとても好きだし応援しているのです。六本木公演が楽しみです。

疲れたので落ち着く本を…と思って手が自然に伸びたのは堀江敏幸の『郊外へ』だった。手にやさしいソフトカバーの新書の手触りも、適度に読み込まれた本特有の心地よい手応えも、そして少し色あせた紙の風合いも、すべてが愛おしい。堀江敏幸は、デビューの時から限りなく「堀江敏幸」だったのだ。処女作を読み返していて、そのことを改めて実感する。


8月19日

『ハチミツとクローバー』の8巻を購入。ここ二巻くらいは正直言って前ほど面白くないなあと思っていたのだけど、8巻は最高です。でも最高という言葉は本当は適切ではない。きれいだな、と思いました。人を想う気持ちが、とびきりきれいな巻です。報われる恋、報われない恋、物語は少しずつ進んでいく。大好きなエピソードだらけの巻ですが、私は最初の竹本君のシーンが忘れられません。少し大人びた横顔で呟くモノローグ。

明日はムットーニを観にゆくのです。毎日ささやかに楽しい。そして毎日崖の淵に立ち、暗がりを覗き込む。闇は、おいでよおいでと誘っている。


8月20日

先日の横浜のライヴ以来、明らかに夏バテだ。あそこでごっそり体力を持っていかれたらしい。それ以来ちょっと動くとすぐ疲れて…という、使い物にならない状態になっている。8月下旬は怒濤のスケジュールなのに、困った。飲み会の予定も二つ増えたし、課題も山積みだし、先行きがちょっと不安。

パルコミュージアムで本日より始まった「Muttoni Museum」へ出かける。ここ5年ほど毎年ロゴスギャラリーで開催される上演会へは出かけていたけど、それは基本的に最新作が展示される場だった。しかしこの会場には過去の作品がたくさん並べられていて、写真集で見て憧れていた作品にも出会えて、それがとてもうれしかったです。上演も頻繁に行われていて、何時間いても飽きない場所でしょう。夜に行われる「ナイト・シークレット上演会ツアー」のチケを購入したので、本日は控えめに、軽く見回る程度で会場を後にしました。夜のミュージアムで見るムットーニはきっと素晴らしいに違いない。その日が楽しみです。帰りには今回の展覧会のカタログを購入。カタログといっても変形型の小さな冊子で、写真集としては期待できないもののセピアな雰囲気や本のデザインがとても好みで買ってよかったなと思いました。小さなアルバムのようです。渋谷に突如出現した、からくり博物館。そこはカーニバルのようで、場末の劇場のようで、無数のオートマタが小宇宙を形成する、きらめく幻のシアターなのでした。

ムットーニで少年感性を刺激されつつ、その後ジェーンで秋物の引き取りとアナスイでコスメを購入と女の子パワーを充電。充実した一日でした。さあ、明日も笑って生きていかなきゃ。


8月22日

忙しくて死んでます。某レポートに取りかかりたいのに、某用件を片付けないと落ち着かなくて取り組めない…。あわあわしながら用件を片付けています。どうして私はこんなに要領が悪いのだろう。要領が悪いというか、ギリギリにならないと動かない気質らしい。学習能力がなさすぎる。というわけで、ここ二日ほどはあまり楽しいこともなくひたすら引きこもり。音楽は突如ヤプーズ&戸川純祭り。本もろくに読めずひたすらPCに向かっていると心が腐りそう。

引き取ってきたウィングチップシューズのボルドー、とってもかわいいです。赤ワインみたいな色、ころんと丸いつま先。眺めているとコーデ妄想が膨らみます。踵がちょっと安っぽいんですけどね。まあ、ジェーンの商品によくある微妙な安っぽさは味だと思って諦めてますので…。それにしても早く涼しくなってほしいものです。そろそろ体力の限界。


8月23日

突如水樹和佳子の『イティハーサ』全7巻を一気に再読。しばし時間を忘れ、遠い彼方の時空を旅する。13年かけて完結された、壮大な物語。閉塞感の強い状況で読むと脳内トリップ度が一気にアップ。

久しぶりに葉々屋で紅茶を買いました。私が好んで買うミルクティー用の茶葉は200gで1100円とすごくお手頃価格。ざくざく紅茶を飲む私にはこのくらいの値段がぴったりなんですけどねえ。ついつい贅沢をして、高めのものを買ってしまいがち。


8月25日

昨日の記録。上野・根津散策をする。国立科学博物館で「縄文VS弥生」、国際こども図書館で「ロシア児童文学の世界」(とてもきれい。カタログ購入の申し込みのためにもう一度出かけるつもり)、その他根津神社、東京大学構内と勢力的に歩いた一日。曇り空で風も涼しく、散歩にはぴったりの一日でした。最後は久しぶりに池袋に出てパルコをうろうろ。セレクトショップ系が充実していてすごく好み。改装が終わったらまた覗きに行こう。うっかりスピックアンドスパンでブーツを買いそうになるもとりあえず自分を抑えてみる。危なかった…。あとはミリタリーなデザインの秋コートが欲しいなと思ったり。物欲って尽きません。お出かけしたのはネットを通じて知り合った方で、最初にお会いしたのはもう5年以上も前。数年ぶりにご一緒できてとてもうれしかったです。楽しい一日でした。それにしても薬を飲んでも吐いてしまうほど弱っている私の体もどうかと思う。だいぶ消耗中。


8月26日

疲れてます。忙しくて死にそう…。でも某件のデータは引き渡しできたし、これでようやくレポートに集中できるかな。ってこれからテーマ決めと資料集めという、ゼロの地点からのスタートですが。この調子じゃ提出までずっとカリカリしてそうです。そんな今日も研究会の手伝いで21時過ぎに帰宅したのでした。……疲れてます。

長野まゆみ『夜啼く鳥は夢を見た』(河出文庫)を再読。私もきっと、睡蓮の実のように泥の沼に沈みたいのです。ふと『麦の海に沈む果実』のことを思い出す。沈む、という感覚は好き。基本的にベクトルが下向きな人なのだ。だからこそ星や宇宙、ロケットに憧れる。ああ、夏が終わってしまう。過ぎ行く夏の日に見たロケットの銀色の機体は、きっと幻影。あの空の色、まぶしいジェラルミン、こんなに鮮明なのにすべて幻だなんて。空想は残酷だ。いつも鮮やかな色彩で私の心を遠くへ連れ去るのに、私は永遠にそこに行くことができない。


8月27日

飲み会。いろいろな人がいて、とても楽しくて、でも私はからっぽで。趣味のことも研究のことも特に話せないので、ぼんやりお酒を飲んでいるだけ。生きるのは絶望的なことだ。どうしてもっと前に時計を止めることができなかったのだろう。とふと思う瞬間があったりして、そういうことばかり考えている自分は哀しいのだろうなと思う。前向きになりたいねー。そうしたら私はもうちょっとまともな人間になれただろうに。腐った心と無気力さしかない私は、本当に死ねばいいと思うよ。飲み会はいろいろな人が集まっていて、楽しかったです。主催者の人徳だわ…。お誕生日おめでとうございます!お祝いの末席に座れてうれしかったです。幾つになっても誕生パーティーは素敵だ。


8月28日

ここ最近の日記がやさぐれまくってる…。疲れてるからかなあ。疲れているからだと思わせて。今日はやるべきことを放り出してずっと寝てました。疲れはまだ抜けきらないけど、気分は多少マシになったかな。秋は行きたい展覧会もたくさんあるし、引きこもっている場合ではないので少しずつ回復していかなければ。自棄になりそうな毎日ですが、まあそこは適度にごまかしごまかしやっていこうと思います。

TSUTAYA通いがやめられません。UKロック近辺を一度にがっと5枚くらい掴んでみたいな、そんな借り方をしています。いろいろなものに出会えて面白いですよ。そんな今はFISHMANSのベストアルバム『宇宙』を聴いています。今日は「ナイトクルージング」の気分。

今月号の「装苑」を購入。本屋へ行く回数が減ったので新刊や雑誌はいつも出遅れる私なのだけど、装苑はなぜか最寄りのコンビニで取り扱ってくれているので発売日の数日以内に買える。ありがたいことだ。コサージュ、Jane Marple、セルジュ・ルタンス、ボーイズスタイル等々私の好きなものばかりが載っている。こわばっていた心がじわっと潤っていく。かわいいもの、きれいなもの、好きなものを眺めているだけで幸せになれる。なんて手軽で単純な私なのだろう。


8月29日

江國香織『赤い長靴』(文藝春秋)を読了。タイトルと装丁に惹かれて借りてきた本。すごく好きというわけではないのだが、最近の江國香織の本を読んだ時に感じる不快感はあまりなくするすると読めた。どうしてタイトルが「赤い長靴」なのだろう。エピソードととしても、言葉としても、出てこなかったように思うのだが。表紙になっている絵がとても好きで、じっと見つめてしまう。井上信太の「群像」。

頭が痛く、体もだるく、体調に引きずられているのか気分もすぐれない。もうお手上げ状態で、仕方ないので部屋を片付けてみる。細々した小物がきちんと整理されている引き出しが好き。棚を開けるときちんと物が並べられているというのはすごく気分がいい、と思う。標本棚を作り上げていくみたいで楽しい。この部屋がかっちり分類整理されたらなんて素晴らしいことだろう。それは片付けとは別次元の快楽だ。分類、陳列、カタログ化。世界をこの戸棚に並べることができたなら。そんな、ささやかな欲求が私にはある。

最近調子が悪くて、メールのお返事がずっと返せていません。もうしばらく返信は遅れがちになると思いますが、メールをいただくのも書くのも好きなので、調子を見つつ少しずつ返信していこうと思っています。いつもいつもこんな管理人で申し訳ないです…。


8月30日

すさまじく調子が悪い。こんな調子じゃ、プラのライヴに行けるかどうかも心配。行きたくないというのではないけれど(むしろすごく楽しみにしている)、ライヴに出かける心の余裕すら今の私にはない。結局行かずに部屋に閉じこもっていたらきっと余計落ち込むので、つらくても頑張って出かけて後ろで眺めていればいいのだと判っている。でも、それすらもできないかもしれない。どんどんどんどん堕ちてゆく。底なしの、真っ暗闇の中。そんな今日は飲み会なのです。同じ高校だった人たちと私を含め三人で飲み。大学は皆バラバラだったのに、なぜか大学院は同じ大学へ進学して再び集結してしまった。おまけに家まで近所だよ…。なんだか笑える。私以外はみな着実に進んでいて、今はちゃんと博士課程。元気な時ならともかく、この状態でのこうした集まりは正直に言って少ししんどい部分がある。それは相手が悪いのではなく、完全に私個人の問題。私が悪いだけ。もう少し自分に自信を持てたらいいのにね…。私は自分が嫌いで嫌いでたまらなくて、毎日自分を消し去りたい衝動に堪えて生きている。そんな状態じゃ、他人とコミュニケーション取れなくなっても仕方ないのかもしれないね。しばらく日記を休もうかしら。こんなくだらないことを日々書いていても仕方のないことだし。久しぶりに、すべてのファイルを削除したくなってしまった。インターネット空間ですら、今の私には敵みたい。何一つ形を残さず、消えてしまいたい。

ずっと探していたネックレスが手に入った。Jane Marpleの2003年冬物、雪の結晶ネックレス。ジェーンの商品にしては繊細な作りで、初めて見た時からずっと惹かれていた。イメージは「雪の女王」かな。豪華ではあるけれどそれは冷たい華やかさで、シルバーと透明なビーズの色合いが美しい。私はどうも北属性らしく、冷たくひんやりとした雰囲気をまとったものに激しく弱い。これもそんな私の好みにドンピシャリで、密かにずっと探し続けていた。実際手に入れてみると雪の結晶と氷の粒を束ねたようなネックレスは、物語から抜け出してきたような佇まいで私の夢想を誘う。「雪の女王」の話しは子供の頃から好き。あとは「白鳥の王子」など、そういった童話に興味を持つ子供だった。今度久しぶりにまとめて童話を読み直したいな。それにしても、雪なのである。まだ秋すら到来していないのに…。雪の結晶ネックレスはしばらくアクセサリー入れの中で眠っていてもらうことにしましょう。

今日はTravisの『12 Memories』と『The Invisible Band』を延々とリピート中。TravisはそのうちDVDも買う予定。


8月31日

えー、念のために言っておきますが私は元気ですよ。ネット上でネガティブなこと吐いてるうちはまだまだ余裕です。本当につらくなったらそんなことも言えなくなりますので。この日記でダメダメ書いてストレス発散をしているのだと思います。だからどうぞご心配なく。日記に吐き出した後、けろりとしていることもありますので。ネット上の「由里葉」人格は、やっぱり素の私とはイコールではないのです。決してキャラを作っているわけではないけれど、全体が隠されることによって別な部分が過剰に増幅されたりと、少しバランスの悪い部分があるかもしれません。そもそもリアルの私はそんなに繊細な人間ではないのですから。私を知っている人ならよくおわかりかと思いますが、普通に図太いです。そんな今日のBGMはBUMP OF CHICKENの「ハルジオン」。あとまたTSUTAYAへ行きました。通いすぎです。。まあこれからレポートで引きこもるので、そのための音源補充ということで。あとジェーンにも寄ってお引き取り。9月になる前に秋物の引き取りがほぼ完了っていうのもどうなんだろうな。私がツボったものがカタログの前半に集中していたからなのだけど、さすがにこれはちょっとつまらない…。今日引き取ってきたボンボンベレー、めちゃめちゃかわいいです。秋冬の帽子は大好き。ベレーはもち2色買いですよ、えへへ。

森薫の『エマ』6巻を購入。あれ、5巻発売ってそんなに昔ではないような…。次の巻の発売が早いと思ったのだけど、気のせいかしら。5巻とは対照的に陰鬱な話しが多い6巻で、楽しいというよりは話しを進めるために必要なステップを踏んでいる感じ。最近は雑誌を買って読んでいるので内容自体は知っているのだけど、まとめて読んで話しの流れを再確認したり書き足しをチェックしたりと、ヲタ的な楽しみ方をしています。

まだまだ湿度は高めだけれど、肌に当たる風が少し心地よくなってきた。確実に、真夏の暑さは落ち着いてきているらしい。これからどんどん光が褪せてゆき、冷ややかな秋が訪れる。ここ数年、毎年のように夏は調子が悪い。白い空白の8月はもう終わり。明日からは、9月なのだ。季節の移り変わりも自分の中の揺れも、きっと自然なことなのだろう。

 

 

 

 

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