5月1日

岡田史子が亡くなったことを今頃知る。本棚の奥深くに仕舞い込まれている『ガラス玉』。影響はそんなに受けていないと思う。読むと気分が沈むので、滅多に手に取らなかった。それでも、やっぱり好きだった。有名・無名、たくさんの人の死のニュースが耳に入ってくる今日この頃。

福永武彦の短篇を読み直している。福永武彦は、私の十代と強く結びついている。懐かしくて、そして痛い。私は今でも福永武彦が大好きだ。今日読んだのは「塔」。


5月2日

昨日は一日風邪でダウン。先日異常に暑かった日、うっかり薄着で寝てしまったのが原因と思われる。喉をやられてしまって声がかすれているし、全身がだるい。久しぶりに薬を飲んで一日寝込むということを体験してしまった。ああ、貴重な休日を一日無駄にしてしまった。ショック。今日は幸い起きられるほどには回復したのがせめてもの救い。でもあまり無理はしないようにしなければ…。今日はこれから学校です。

フワンソワ・オゾン監督の映画『まぼろし』を見る。オゾンの映画を見るのは久しぶりだ。昔映画にはまっていた頃に『海をみる』をはじめ、まとめて数本見たことがある。まぼろしの主演はシャーロット・ランプリング。『愛の嵐』の時のような美しさはないけれど、それでも確かな存在感。映画を見る以外は部屋でダラダラと漫画を読む。吉野朔実の『ジュリエットの卵』『少年は荒野をめざす』を再読。どちらもすごく好き。頭も体もぼんやりして、言葉すら上手く浮かび上がってこない。体調が悪いのは嫌いだ。


5月3日

弥生美術館で開催中の「大正・昭和 女學生らいふ展」を見にゆく。挿絵や少女雑誌・少女小説をはじめ、実際の女学生ライフがかいま見れる展示が面白い。私は少女小説などの文学・美術方面はもともとそれなりに知識があったし自分でも本をコレクションしているので、実際の女学生の生活や風俗の資料の方が興味深く感じられた。美しいもの・かわいらしいものに憧れ心をときめかす少女たち。エスの世界。少女時代を懐かしく語りつつ展示に見入っていた上品な婦人組がいて、思わずそっと耳をそばだてて会話に聞き入ってしまった。展示を見終わってから『女學生手帖』(河出書房新社)を購入。この一冊に、展示のすべてが網羅されている。資料として重宝しそうな一冊だ。


5月5日

オリヴァー・サックス『タングステンおじさん 化学と過ごした私の少年時代』(早川書房)を読了。久しぶりに単行本を一気に読み上げた。この本のことは今まで全く知らなかったのだが、図書館で見かけてタイトルに惹かれ、手に取ってみたところ面白そうだったので借りてきた。指が吸い付く感じというのだろうか、長年の本読みで鍛えられた面白い本を見つけるセンサーが働いたのだが、予想に違わず非常によかった。それにしてもこんな幼年時代を過ごすことができたなんて、なんて幸福だったのだろう。化学や地質学、そして医学に囲まれて育った著者が羨ましくて仕方がない。甘い少年期のノスタルジーと、科学に対する好奇心が見事に融合している。私は科学史解説めいてくる後半より、子供の素直な興味のままで描写された前半の幼年時代の方が好きだ。文庫になったらぜひ買いたい。文庫になったら…というところがダメダメくさくて申し訳ないのだけど。この本を読んだら急に『ゲーデル、エッシャー、バッハ』を読みたくなって、先ほど図書館から借りてきた。残りの休暇はこの本と共に過ごそう。


5月6日

先日の風邪以来、ずっと体調が悪い。風邪が直りきっていないのだろう、体はだるいし何より器官がヒューヒューいって咳が止まらないのが苦しい。熱は全くないのだが、微熱っぽいようなだるさがずっと抜けず、ここ数日は寝込むまではいかないもののずっと薬を飲んで、寝たり起きたりの繰り返し。当然のように勉強ははかどらない。嗚呼、レジュメが…。薬のせいかずっと眠いし喉が乾くし、かなり衰弱している感じ。

6月のBUCK-TICKのライブへ行きたくて仕方がありません。ニューアルバム「十三階は月光」もツアーもとっても評判がいいので(アルバムはまだ買ってない)、これはぜひ行かねばとは思っているのですが、そうすると6月のライブの予定が6回に。6月はただでさえ自分の発表があって忙しいから、本来だったらライブなぞへ行っている状況ではないのですが…。でもこれ見逃したら絶対後悔するよなあ。やっぱりチケを買うか。と、こんな感じで悶々としているわけです。ところでうちの大学内にローソンができました。バンギャの友のLoppiがこんなに近くに。素敵すぎる。日々せっせとチケを引き換えにいってます。


5月8日

来週半ば頃まで日記に手が回らないかもしれません。体調を崩して寝込んでいたためスケジュールがキツキツで、おまけに今も体調が悪いのでなかなかはかどらず、かなりまずい感じです。ともかく学業の方で一杯一杯です。今回の発表が終わればとりあえず5月は心安らかに過ごせると思いますので、しばらく集中します。それにしても人間健康が大事ですね。こんな体調では、頑張りたくても頑張れません。


5月9日

かなり切羽詰まってます…。明日自由に時間を使えたら問題なしなのですが、夜まで予定がびっしり。どうしましょう。睡眠を削るというのが不可能な人なので、残された時間の中でなんとかまとめるしかないですね。頑張ろう。そんなキリキリした毎日ですが、かわいい服とかおいしいご飯に慰められています。最近よいジェーンアイテムがいろいろ手に入りました。探していたものが見つかる時って重なるものですね。お店からも夏物のブラウスの入荷連絡が来たので、週末にでも引き取りに行こうと思っています。図書館から切手の本を借りてきたので、疲れた時はこれをパラパラめくったりしています。やっぱり切手、大好き。私の切手コーナーは一年ほど更新が止まっているので、またあれこれアップしたいです。スキャンしていない切手がコレクションボックスにぎっしり…。落ち着いたら切手の本は日記で紹介します。


5月12日

ご無沙汰しております…。日記が止まってしまいました。なんかもういっぱいいっぱいすぎて、忙しすぎて、久しぶりに極限まで疲労した感じです。11日に発売になったプラのニューシングルすら買いに行けていない。こういう状況になっているのも、自分にベースとなる方法論や基礎知識が備わっていない状況で高度なことを求められているからなんですよね。あとは自分の思考を言語化する訓練をしていないとか。趣味の話しならいいですよ。喋りまくりますよ。でも理論攻撃は苦手なんですよね、慣れていないこともあり。こんな状況なので日々凹んでいますが、落ち込んでも仕方ないので一つ一つ身につけていこうと思っています。スロースターターな私らしく落ちこぼれっぷりを発揮していますが、そのうち人並みなレベルに這い上がれるのかなあ。というか這い上がらないとダメなんだけどな。

日々抽象的なものを相手に理論思考を強いられているので、クリアで手応えのあるものが恋しいです。パソコン弄ったり、ネットワークの勉強していると落ち着くなあ。私はたぶん、理論そのものに対する興味や関心はあまりない。自分の中ではあくまでツールという位置づけのような気がする。まあそれはそれでいいのだけど、だからといって理論を知らなくていいという言い訳にはならないし、苦手なのは致命的。どうしたもんだか。そういえばネットワークの勉強が楽しいと書きましたが、試験が5月30日にあります。このための勉強もしないと。今の状況だと文献読解に追い立てられているのでここまでの余力はないのですが…。どうしたもんだか。今日はなんだか愚痴日記ですみません。週末は少し落ち着くので、元通りの日記が書けるかと思います。あと事務的なメールすら返信が滞っていて本当に申し訳ないです。こちらも週末に頑張って返信します。すみません。


5月14日

ゆっくりできる週末って素晴らしい…。やることが山ほどあってのんびりもしていられないのですが、とりあえず体を休めて体力回復に努めています。問題は来週。金・土・日と予定がびっしり。一体いつ課題をやるのか、いつ休むのか。そして6月はライヴラッシュ。今更ながら不安になってきた。それにしても最近の私はありえないほど本を読んでいないです。学業関連のものなら目を通しているけど、そういうのは私の中では読書とは言わないのです。本を読まないと明らかに感性が鈍るし、どんどん自分が壊れていくのを感じる。余裕がないのが嫌。余裕がない自分が嫌。

FIGARO、買いました。今回のフィガロは素敵。クラシカルで美しい写真が多いし、ギャラリーやフォトグラファー特集など私好みの内容だった。こういう雑誌を見ると「資料として保存」と自分に言い訳をつけて買うのだけど、一体何の資料にするのかは不明。私は絵を書く人ではないのに…。


5月15日

ロビン・ウィルソン著『数学の切手コレクション』(シュプリンガー・フェアラーク東京株式会社)を読了。先日の日記でちらりと書いた切手の本です。タイトルに数学のとは入っているものの、数学の話しも取り入れつつ科学史全般を見ていくような流れの本でした。雑学的でさらに切手の図版が豊富なので、読みやすいと思います。オールカラーなので切手の色まできちんと楽しめるのがいいですね。数学の切手は守備範囲外だから私の持っている切手は載ってないだろうなと思っていたのですが、予想外に10枚ほどありました。数学のものというよりは、天球儀やら六分儀やらの器械類の切手がメインですが。切手というのはマニアがうようよしている世界で私などは本当に表層だけをさらっと触っているような軽いファンですが、単純に見た目の面白さで選ぶのもアリだとは思うのですよね。自分の琴線に触れるデザインということをテーマに、これからも地味に切手をコレクションしていくつもりです。

最近私の中でレースやらリボンやらジェーンやらの少女趣味がブームで日記にもその傾向が強く出ていますが、ここのベースは理科少年的感性にしていきたいと思っているので、今後の方向性について少し迷っています。今すぐというわけではありませんが、たぶん少女系コンテンツは作ります。その方が内容をきっちり分けることができて、ここにまた私の好きな科学の気配を強く出すことができるから。ただ少女系・服飾系のコンテンツをプラのように半独立した形ではあってもここの一部とするか、それとも全く別のサイトにしてしまうか悩むところです。プラは音楽とはいえ私の今まで作っていた世界と共通するものがあるので、その連続性を明確にするためにも独立はさせませんでした。しかし少女系はどうしたものでしょう。もちろん中の人が一緒なので、どこかしら重なる部分はあるのです。また私自身、少女/少年世界の境界が一番居心地がいいし、二つを同時に扱う方が楽しい。でもNEW ATLANTISの中に入れてしまうとどうしてもデザインがこの系統になりがちだし、思いきって切り離した方が全く違ったデザインやアプローチができるかもとは思います。ただやっぱり境界線の上にいたいし、それにサイトを幾つも管理するというのはそれはそれで結構負担だし…。そもそも全く新しいサイトを作って育て上げていく気力があまりなかったり。まあ、今すぐ作るというわけではないのでゆっくり悩んでおきます。仮に作るといっても数年計画になるでしょうから。

学業関連ではこの頃マルクス主義関係の文献を読む機会が多いです。実はちょっと、マルクス主義にはまりぎみです(笑)。私の世代だとマルクス主義自体がもう全然人気がなくて、昔流行っていたよなあみたいな過去の栄光というイメージがあるし実際そうだとは思うのですが、社会学系の勉強をしているとマルクス理論の影響の強さをまざまざと実感します。表からは見えにくい形であってもまだまだ強力。私が興味を持っているのはマルクス主義の理論そのものというよりはそれをベースにした別の理論や方法論です。だから別に『資本論』読んでるとかそういうことではありません(まあそのうち読むかもしれないけど)。修論でもマルクス主義の影響を分析してみたいなあと思っていたところだから、こうやって勉強をする機会があったのはよかったかも。

 

 

 

 

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