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★1月16日★ ★J・エプスタイン『出版、わが天職』(新曜社)を読了。いただきものの本。今日読んだわけではないが、研究用の本も数冊読了。そろそろ修論のラフスケッチくらい考えておかないと。ぼやーっとしたアイディアは頭の中にあるのだけど、どの程度資料を集められるかが問題。 このサイトは最初読書サイトとして出発し、だんだんと読書色が薄くなり今ではとても読書サイトとは呼べないシロモノになってしまった。決して本に対する愛情が冷めたわけではないし、今でも変わらず読み続けてはいるのだが前のようにみっちりした本の感想を書こうという気持ちはかなり薄れてしまった。そのうえ他の要素がたくさん乱入してきたのだから、主軸を失ってこういうわけのわからないサイトになってしまったのも当然といえば当然だ。本が好きだ。読書が好きだ。でも、かつてはあった本との間のとろけるような幸福は今はもうない。私はどこであの幸せを手放してしまったのだろう。 ★1月17日★ ★Jane Marpleからプレセールの葉書が来てしまった。あんまりお金もないし人が多いのも嫌だし今回のラフォのセールは見送ろうと思っていたのに、予想外にプレの葉書が届いて心が揺らいでいる。プレなら一日早いし、平日昼間でも時間の都合がつくし(学生バンザイ)、50%オフはおいしいよねと部屋で葉書を見つめながら悶々とする。結局授業の前にお店に行ってしまいそうです。ざっと見回って、何かよいものがあれば一着くらい…。なんて意志が弱いんだ、私。 ★試験一週間前となったので遅まきながら勉強を始めました。試験の範囲って院試の時に勉強した部分なはずなのだが、院試が終わった後遊び呆けていたので全部忘れ去っていた。すっかりアホな子になっている。というわけで埃をかぶっている情報学事典を久しぶりに持ち出しました。たまにはちゃんと勉強しないとね…。 ★1月18日★ ★15日にあったプラのライブのことをがんがん日誌に書いているのでこちらが手抜きになっている。ライブの様子はあちらで詳しく書いているのでここでは繰り返さないが、一つだけ書き記しておけばこの日初めて「サーカス」を聴くことができた。私が恋い焦がれ続け、圧倒的な思い入れを持っていた曲。私の心の中に漠然とあったサーカスへの憧れを、具象化させるきっかけとなった曲。この日のアレンジは音源と異なっていたりと前半はとまどう部分もあったが、後半は演奏が音源に近づき言葉もないほどこの曲に引き込まれていった。この曲自体が一つの物語であり、魔法だ思う。この曲を聴くと確かに見えるのだ。幻のサーカスが、そこに現れる。 Plastic Treeを知り、サーカスを聴き、私の中にあったサーカスへの憧憬が少しずつ形を取り始めてきた。レイ・ブラッドベリの小説に出てくる黒いカーニバル。スティーヴン・ミルハウザーの短編の自動人形やペニー・アーケード。私が幼少の頃アメリカで見たサーカスやカーニバル。仮面。ピエロ。テント。ストリートオルガン。風船。紙吹雪。偽物の色彩。歪な笑い。怖いもの。不思議なもの。心を奪って遠くへ連れていくもの。私が現在手の中で弄んでいる漠然としたイメージが、どのような形になるのか、私はまだ知らない。サーカスを見たいと思う。私が求めているのは、きっと空想のサーカス。人が夢の中で描く、ノスタルジックなサーカス。でも今のサーカスも見ておこうと思う。たくさんのことを見ておかなければ。記憶しなければ。私の頭の中にある膨大な記憶箱。これが私の一番の宝であり、一番の武器でもある。この記憶の地層は私だけのものだ。三月には木下サーカスの公演を見に行く予定だし、チケが完売でなければシルク・ドゥ・ソレイユの『アレグリア2』も見たかった。行けないので、せめてもと思いシルク・ドゥ・ソレイユについての本『アートサーカス サーカスを超えた魔力』を読んでみた。私は少しずつ、サーカスの領域に足を踏み入れている。 ★1月19日★ ★四方田犬彦『摩滅の賦』(筑摩書房)を読了。摩滅をテーマにした不思議な本。こういう着眼点は好きだ。内容的には全然違うが松岡正剛の『フラジャイル』は弱さというある意味この本と同様捻った視点から書かれたとても面白い本だった。こういうはかなきものを取り扱った本は大好きだし、それを描写する文がとびきり繊細とあればなおのことうれしくなる。これは図書館から借りて読んだのだが、自分の本棚に必要な本なので購入を決意する。最近この『摩滅の賦』といい金井美恵子の『噂の娘』といい、素晴らしい本に巡り会う機会が多くてうれしい。こういうとびきり繊細で美しい本を著わす人たちの本人の人柄が全然繊細じゃないところが面白いなーとたまに思う(エッセイを読めばわかると思うが、あんまり関わりたくないというか関わったら面倒そうなタイプの方々だ)。むしろああいった人たちだからこそ、こうもぞっとするほどきれいなものが書けるのではないかと個人的に思ったりする。 ★1月20日★ ★19日、Jane Marpleのプレセールへ行ってきました。開店後5分くらいにラフォーレに着くように時間を計算して家を出て、電車の中ではずっとiPod+読書でのんびりして、いざラフォーレに着いたらあんまり人がいなくて静かだなーと思いつつゆるゆる階段を上ってジェーンへ行けば………そこは戦場でした(笑)。ここだけ、なんじゃこりゃというほどの人。入口で一瞬入店をためらいましたが、気を取り直して私も潜り込みました。前の日記で「いいものがあれば一着ぐらい」なんて書きましたが、すみません、私が甘かったです。いいものたくさんありすぎました。おかげで一山買うはめに。うわー、やっちゃったよ…。でもセールだからと浮かれず自分に合うものを厳選したからすごくいい買い物ができたと思います。お金があればまだ他にいくらでも欲しいものはありますが、今日の買物でジェーンの秋冬ものは打ち止めにする予定です。楽しかったー。最近ずっとジェーンでばかり買物をしていて女の子アイテムばかりが増えてさすがに少々食傷気味なので、2・3月はガブあたりでちょこっと買物をするつもりです。ブラウンやグレー・変わらぬ型、ちょっと少年ぽさのある英国トラッドなお洋服が恋しい。春物が出そろったらまたジェーンを覗きに行くことにしましょう。春はもう少し軽やかな色の服を着たいものですね。秋冬は重厚な色ばかり買ってしまいました。 基本的に服は着てナンボだと思うので実用重視派、見た目がかわいくても自分に似合わなければすっぱり諦めるというタイプなのですが、最近たまーに非実用的な洋服を買っています。これを衣装に写真を撮ったら面白いなと思うようなアイテム、クラシカルだったりお人形のようだったりサーカスのような不思議な形だったりするお洋服(ジェーンではそういうものがたくさん出ているのです)、こういうのをぽつぽつ集めています。私は写真を撮りたい人であって写りたい人ではないので、では一体誰がこれを着るのだという感じですが、まあそれはそのうち考えることにしましょう。「これは衣装にするの」という言い訳をつけて、非現実的な美しいお洋服を買う瞬間はとても楽しかったりします。人形の裁縫が進まないから、人間の方でやっちゃおうという発想なのかもしれません。そのうちこういった方面の密室写真にも挑戦できたらいいなと考えています。 ★1月21日★ ★調子が悪いので部屋に引きこもる。『イメージの魔術師 エロール・ル・カイン』(ほるぷ出版)をぱらぱら眺める。エロール・ル・カインの絵の色彩は大好きだ。東洋と西洋のミックスと言われるその画風は美しく、挿絵本の黄金時代を彷彿させる作風は見ていて飽きない。これも図書館から借りてきた本なので、そのうち買いたいと思っている。 ★最近部屋ではThe Cureのアルバム「Bloodflowers」ばかり聴いている。キュアーのアルバムはこれが一番好き。すごいアルバム。Out Of This Worldから始まり最後のBloodflowersまで、アルバム全体に暗い浮遊感が漂う。浮遊感といっても軽くはない。暗い場所へゆっくりゆっくり落ちていくような、そんな感覚。 ★1月22日★ ★『レターヘッド アメリカ100年のグッドデザイン 1850~1950」を読む。こういう本を見ていると創作意欲が沸いてくる。意欲が沸いてくるのはいいのだが、最大の悩みはイラストレータのベジェ曲線がまともに使えないこと。それはつまり、イラレをまともに使いこなせていないということなのだが…。ベジェが使えないから他のシェイプツールなんかで誤摩化して使っているが、華麗な曲線を使いこなすのが夢。暇になったら少しトレースでもして訓練した方がいいかもしれない。これは図書館から借りてきた本なので、購入する本リストに追加。 最近他のことで散財しているので全然本を買っていない。頻繁に図書館を利用しているから本には不足していないし困っていないといえば困っていないが、気に入った本はやっぱり本棚に並べたいなーと思ったりする。そのうち他の散財が落ち着いたらまた本に戻ろうと思っている。いつ戻れるのか、全くもって不明だが。当分は衣装と音楽の世界でひらひらしている予定。というわけで本日のBGMはプラの「Puppet Show」。 ★1月23日★ ★マルセル・ベアリュ『夜の体験』(パロル舎)を読了。うーん、感想は『望楼館追想』と一緒かなあ。テイスト的には好みなのだけど、ストーリーでちょっとひっかかってしまうというか。幻想の節々で自己成長的な要素を感じてしまい、私としては完全に幻想に徹している物語の方が好きなのだろうなと思ったり。でもところどころぞくっとするような描写があってそういう部分は非常に好きだ。次は『水蜘蛛』を読んでみようと思っている。白水Uブックスに入っていて前からなんとなく気になっていたが、なかなか手に取るには至らなかった。ようやく機会が巡ってきたという感じ。 ★1月24日★ ★研究生の授業が全部終わりました。うぉー、お疲れさん私。あんなことやそんなことがありましたが、学校生活のリハビリになりましたよ。一応2年いることができるけど、私はもういいや。大学院で充分。近々退学届けを出します。明日はお祝いを兼ねて新宿高野フルーツパーラーへ出かける予定です。ジュース+もう一、二品と少し豪華に注文するつもり。ここのフルーツパーラーは大好きです。とってもおいしい。というわけで明日は遊びです。ついでに春物も見てくるか…。 ★1月25日★ ★西田敬一・文/畑農照雄・版画『サーカス物語』(大揚社)を読了。短い文章が多く読み物としては少し物足りない感じもするが、サーカスのさまざまな側面が切り取られていて興味深い。西田敬一さんは現在は国際サーカス村の代表をされている。添えられている版画はどれも味わいがあって好き。ノスタルジックなサーカステイストに溢れている。 ★高野フルーツパーラーでは苺ジュースとオレンジとイチジクのケーキを堪能してきました。ケーキ、おいしかった!ショコラ風味とぴったり。新宿をぶらぶらした後は久しぶりに千駄木探索。イリアスで素敵な小物を購入したり明富夢(アトム)のパンを買ったり、楽しかった一日。 ★1月27日★ ★授業は終わったのですが、これまで溜め込んでいた小さな用事が山積みだったり他にもやらないといけないことがたくさんあったり、あとは微妙に体調が悪かったりと妙に疲れています。キリキリ動くんだ自分!と念じるほど体が弛緩していく感じ。気が抜けているのでしょうかね。とりあえずこの動けないほどの疲労感をどうにかしたい。 ★ライマン・フランク・ボーム『オズのふしぎな魔法使い』を読了。ストーリーは知っているし映画も見たことはあるが、本自体を読むのは初めてな気がする。オズに辿り着くまでがちょっとたるい感じだが、それ以降はなかなか。自分が一番心惹かれたのがエメラルドの都といかさまペテン師オズだというところに気質がよく現れていると我ながら思った。 ★1月28日★ ★アーカムブックスの2004年ベストCD・コミックに参加させていただきました。文庫本3冊・漫画2冊の計5冊のレビューが掲載されています。よろしければご覧になってくださいませ。昔はともかく、最近は新刊を追いかけることがめっきり少なくなりました。そんな中から選んだ2004年の本は、見事なまでに趣味丸出しです。最近の私の好みは幻想文学に傾いているような…。他の方々のレビューもバラエティに富んでいて面白いです。 ★紅茶をまとめてどっさり買いました。最近のお気に入りはレピシエのキャロル。クリスマスを過ぎてもリピート買いし今でもしつこく飲み続けています。安っぽいイチゴチョコに入ってそうな人工的なストロベリーの香りがよいです(全然褒めてませんね)。ここ数日冷え込みが厳しいので熱いミルクティーがとびきりおいしく感じられます。いただきものの日本茶もあるし、いつになくお茶が家に溢れかえっている我が家です。でもこれがあっという間になくなるんだよなー。飲みすぎかも。 ★1月29日★ ★ブルーノ・シュルツ全集を借りてきた。シュルツはずっと気になっていた作家なのだがなかなか手に取る機会がなくて、ようやく借りてきてみればやっぱりものすごく好みだったわけで、早くから読んでいなかったことが悔やまれる。厚みのある本で持ち歩きには向かないので、家で少しずつ読み進めることになりそうだ。今読んでいるのは第一短篇集『肉桂色の店』。ちなみに第二短篇集が『クレプシドラ・サナトリウム』(全集では砂時計サナトリウムになっている)。このタイトルだけで、ある種の人はシュルツを読みたくなるのではないだろうか。もちろん私もそのある種の人。 こうして全集を手に取って、コシミハルのアルバム『父とピストル』収録の「クレプシドラ・サナトリウム」はシュルツから取っていたんだなあとわかった。アルバムで一番好きな曲。そして『父とピストル』が一番好きなアルバム。きれいで、不気味で、線の細い硬質さが際立っている。人工的というか歪んでいるというか、ともかく私の好きな異世界だ。 この本、欲しい。すごく欲しい。でも高い…。定価が17850円。北園克衛全詩集並みですわ。嗚呼高嶺の花。 ★1月30日★ ★本日の記録。cafe SAYAにて「星ヲ売ル店」。星ノ葬 ーホシノマツリー、遊星夢、水上遊園。少年七海遥。8ミリフィルム。チーズケーキにおいしいココア。少年性に想いを馳せる一日。閉じ込めたい、たくさんのことを。 ★1月31日★ ★ブルーノ・シュルツ全集収録の短篇「肉桂色の店」を読む。こんなに美しい冬の夜の物語を私は今まで読んだことがない。「大鰐通り」も素晴らしいけど、私は「肉桂色の店」の方により惹かれる。真冬の凍てついた夜に改めて読みたい。あまりに美しくて、読み終わった後ため息が出た。外に彷徨い出たくなる。出会えてよかった、心の底からそう思った。 ★気がついたらカウンターが5万を超えていました。私が昨夜見た時はきれいに並んだ数字から少しはみ出したところでした。数にあまり意味はないのだけれど、それは誰かが訪れてくれていることの微かな証であり、足跡でもあります。インターネット空間に意味のある言葉、意味のない言葉を放り投げるのは好きです。本当は少し、繋がることを望んだ方がいいのかもしれません。ですが覗き見するぐらいの気持ちの方が、幻想があって楽しいのではないかとも思います。すべての言葉を青いベールで包んで、月光で照らせば、それは美しく見えるものです。そうやって作り上げたニセモノの世界がここです。私は相変わらずこんな感じで、そして今後も相変わらずな感じでサイトを運営していくのだと思います。いつも見てくださっていて、本当にありがとうございます。幸いなことに去年一年で現実世界の歯車はそれなりにうまく回るようになりましたが、私の心象風景は以前と変わりなく夜の波止場のような深い紺青に染まっています。現実がうまくゆけば夢から醒めるのかと思っていたのですが、結果的には夢が深くなっただけでした。想いや言葉が交差する電子の海の中に、今日もぼんやり海月のように漂っています。 |
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