11月1日

以前日記でちらっと紹介した『少年の魔法の角笛』(白水社)についてのお話し。この本を見つけたのは大学図書館でした。何十年も前に購入され、すっかり色あせている本ばかりが並ぶ文学書コーナーに並んでいたこの本は珍しく白くピカピカで、近年購入されたものだということが伺えました。カバーはかかっていない状態だったのですが本体のデザインも洗練されており、とてもクラシカルな雰囲気が漂っている本でした。気になったので手に取ってみると案の定2003年に出版された本で、装丁はクラフト・エヴィング商會でした。私は全く知らなかったのですがこの本はドイツの子どもの本としてとても有名だとか。物語というよりは短い唄という感じですが、面白かったしかなり好きな感じでした。この本の成立の話しについては今は手一杯で紹介できないのですが、興味深いしいつか取り上げることができればと思っています。本の余白も目に美しく、デザイン的にもとてもいい本だと思いました。

風邪は悪化せずおさまりつつあります。よかったよかった。私がレジュメ作らなきゃと騒いでいるのは授業でプロバイダー責任法について発表しなければならないのですが、なかなか難しい問題ですね。2ちゃんねるの裁判についても資料を集めましたよ。いろいろコメントしたいことはあるけど、ここではやめときます。小心者で人見知りな割に発表は実は得意だったりするのですが(いざとなれば口達者なので)、資料作りはかなり苦手なので困っています。まとめるのめんどくさい…。こうやって籠って発表資料作りをやっていると本当に日記に書くことがなくて困ってしまいます。地味な毎日だなあ。逆にMemoの方がネタがあって書きやすかったりする今日この頃です。


11月2日

先日読んだ『「キング」の時代』がとても面白かったので、同じ著者の本『現代メディア史』を借りてきました。発表が終わるまでは読めそうにないので今は最初の部分をぱらぱらめくった程度なのですが、こちらも面白そうです。教科書的な作りになっているから、メディア論の入門書としてもいいかも。

なんかはてなが住所登録必須化したとかで(一部の人が)揺れているようですが、それにしても最近のブログの勢いはすごいですね。学術的な観点からはブログに興味があるけど、自分が実際に使う気はなしというこの矛盾はなんだろう。


11月4日

発表が終わりました。ここのところこの準備とあとは別なストレスも加わって変な時間に寝たり起きたりという不規則な生活が続いたためか、かなり体調が悪いです。週末はゆっくり休んで、また来週から生活を立て直したいと思います。

平出隆『ウィリアム・ブレイクのバット』(幻戯書房)を読了。私はドナルド・エヴァンズをめぐる「glad day」、あとは「ball, bat & art」が好きです。すがすがしくて、そしてこの本のように上質な手触りのする文章。ところどこに入っているドナルド・エヴァンズの空想の切手画と写真や図版のコラージュが素敵。版元の幻戯書房は聞いたことがない出版社だなと思って検索したら、角川源義の娘さんの出版社だとか。本のラインアップを見ていたら以前読んだ小尾俊人『本は生まれる。そして、それから』もここから出版されていたことに気付きました。読んだのに、本の感じからてっきり岩波あたりだろうと思っていて版元をチェックしていませんでした。


11月5日

『LULU』というCD-ROMを買いました。これは古いソフトなのですが、本の中に住むお姫さまが不時着をしたロボットのネモと一緒に旅をするという物語です。このソフトのことは今まで全然知らなくて、でも授業で見せてもらってその美しさにすっかり魅せられて購入してしまいました。古いソフトだから格安で買えました。本の中の世界ということでインターフェイスも本の形をしているし、何より絵が素晴らしいです。クラシカルでありかつブッキッシュという、まさに私のツボのど真ん中。デザイン面でいろいろ影響を受けそうです。まだ先ほどから見始めたばかりなので、これからゆっくり遊んでみようと思っています。ウェブ上でこういう美しい世界を作れたら楽しいだろうな…。かなり古いソフトなので現在の高画質ゲームの美しさには当然かないませんが、そういうことではなくてこう雰囲気とかが非常によいのです。こういうのを見るとまた画像作りに取り組みたくなります。最近はテキスト書きばかりしているので、正直ちょっと疲れてきました。せめてデジカメで写真くらい撮っていた方が心のバランスが取れるような気がします。電池切れで放り出されているから、充電してまた携帯することにしましょう。


11月6日

南博著『日本人論 明治から今日まで』(岩波書店)を斜め読み。また頭痛と体のだるさが戻ってきました。風邪、しぶといです。


11月7日

週末は引きこもって黙々とPCに向かっていました。久しぶりにIllustratorを立ち上げて小物のパーツなどを作っていました。私の場合こうやって気が向いた時にパーツを作っておき、それがたまってくると組み合わせて画像を作るというやり方をすることが多いです。何に使うのかもわからないままちまちま小物を作っているのは地味な作業ですが、これが素材になるので結構重要なプロセスだったりします。最近あまりにイラレを使っていなかったので立ち上げたら使い方をかなり忘れていました。やはり定期的に手を動かさないと感覚が鈍りますね。作ったのは時計とか鍵とか豆本など、例によって私の好きなモチーフばかりです。これ、何に使おうかなあ。私がやっているのは所謂CGなのかもしれませんが、自分ではあまりCGという感覚はないです。自分の手になじむからコンピュータというツールを使っていますが、どちらかというとアナログっぽい感じの方が好みです。CG特有のピカピカした感じが自分の作るものにはあまり似合わないかなと思うので、あえてマットな質感に仕上げています。今は紙や布の質感を出したいなと思っていたりします。絵本っぽい感じに惹かれています。

ピーター・S・ビーグル『心地よく秘密めいたところ』(創元推理文庫)を読了。読み終わって私は『最後のユニコーン』派かなとは思いましたが、これもいい小説ですね。墓地に住む男、ソーセージをくわえた鴉、死者たち、ニューヨーク。


11月8日

年末くらいまでFlashを集中的に勉強しようかなと思っています。今まで何度かトライしたことがあるのですが、どうしても挫折してしまってなかなかうまくいきませんでした。ですが最近は前よりもイラレが使えるようになってきたので作ったオブジェを動かしたいという欲が出てきたらしく、またチャレンジしてみようかなと本棚の中で眠っている本を引っ張り出してきました。一応目標としては簡単なFlashアニメーションを作ること。飲み込みの悪い人間なので、最初のステップがとてもつらいです。Flashはタイムランやキーフレームなど、インターフェイスや仕組みがドロー系とは違うのも手こずっている原因かと。とりあえず数日に一回はFlashを立ち上げて動かしてみるよう心がけることにしました。自分でアニメーションを作れたら絶対世界が広がるはず。頑張ります。

今は大好きな小説、スティーブン・ミルハウザーの「アウグスト・エッションブルク」を読み直しています。再読するたびうっとりする小説。からくり人形師を主人公に、素晴らしいミクロコスモスを描いた傑作です。


11月9日

「アウグスト・エッシェンブルク」を読み終わり、続いて「イン・ザ・ペニー・アーケード」と「東方の国」を読みました。ミルハウザーの小説を読んでいると、無性にベンヤミンが読みたくなります。『パサージュ論』を読み直そうと思い、1巻から順番に読んでいくことにしました。現在再読ブームです。


11月11日

『パサージュ論』の1巻を読み終わり、現在は吉田篤弘『針がとぶ』を再読中です。これも大好きな本。再読、とっても楽しいです。

ここ数日は忙しかったです。まず母親が東京に来たり(といっても奈良へ遊びに行くそうで新幹線に乗るために東京に立ち寄っただけでしたが)、学校のことで手一杯だったり。そんな最中息抜きにちょろっとラフェーレ原宿をのぞきにいったりしたのですが、ガブリエルチェルシーのファーつきカーディガンを買いました。少し厚手なのでこれからずっと活躍してくれそうです。このガブって英国トラッドがベースになっているのですがシルエットが大変素敵で、私はかなりはまりそうです。色も黒・茶・深緑やグレーなどがベースで私好みだし、色は控えめなのにカットがしっかりしているから着るとどことなくかわいらしいし、非常に好みでした。ここのシャツ、最高です。また買いに行きたいと思います。という感じで、ホームページの方は停滞ぎみですがわりと元気に過ごしています。


11月12日

『針がとぶ』を読み終わり、現在は吉屋信子の『花物語』上巻。むせかえるような花の香り、少女たち、そしてお姉様。最初にこの本を読み、それから他の吉屋信子の本を読み漁ったけど、結局これが一番。現在自分の中にいろいろインプットしたい状態らしく、外に向かった回路が閉ざされています。だから日記も停滞しています。でも水面下では、意識下では動きがあるのです。それを掬い上げて形にするのが難しいのですが。いつか時が来れば、自然と動き出すことでしょう。


11月13日

アンデルセン童話集の『人魚姫』(新書館)を読みました。訳は荒俣宏、絵はデュラック。「人魚姫」「夜なきうぐいす」「パラダイスの園」と三作収録されているけど、人魚姫がとびきり美しいです。本を読みながら肺の中まで水を満たし、こぽこぽと真珠の息を吐き出す。青みがかった水の世界、そして悲しい物語。泡になってとけていったお姫さま。子供の頃に読んだ本であらすじは知っていたのだけど、こうして改めて読んでみるとその繊細で美しい文章に驚かされます。


11月14日

引き続きアンデルセンの「雪の女王」を読みました。新居昭乃さんの曲「New World」のモチーフになっているお話です。ストーリーは知っていたものの、話しを読んだのは初めてだと思います。予想より重層的な物語でした。少年が攫われて、少女が助けに行くというシンプルな内容だと思っていたのですが、傍流の話しが重なりあって、不思議な世界を作っています。今回はそのことに驚いてしまって話しを楽しむとまではいかなかったので、またそのうち読み直してみるつもりです。物語を読んでいて久しぶりに谷山浩子さんの「カイの迷宮」を聴きたくなったのでCDをかけました。このアルバムも雪の女王がテーマになっているのです。


11月15日

また体調崩してます。一体いつから私はこんなに虚弱になったのか。なんかずーっとぐずぐず体調が悪くて参ってしまいます。寝込むほどじゃないけど体がだるいとか胃が痛むとか頭痛がするとか、そんな感じです。ここ数日急に寒くなったからかなあ。とりあえず体調を回復させるため、起き抜けの珈琲はやめてハーブティーにしました。あの濃い珈琲が絶対胃を痛めている原因の一つなはず。とりあえず家にあるレモングラスとリンデンを適当にブレンドして飲んでいます。近々ミントとカモミールあたりでも買いにいきましょうか。

久しぶりに人格ラヂオの公式サイトを見たら12月3日に池袋サイバーでチャリティーのためのワンマン公演をするとあって腰を抜かしそうになりました。公演はその名もチャリティ・ラヂオ・シアタァ。チケは1000円で売り上げのすべてを新潟へ寄付するとか。悠希といえば自己中、自己中といえば悠希というようなお方ですが、こういったことやらかすから侮れませんね。なんでも昨日がチケ発売日だったようですが、当然のごとくソールドアウト。私は一足出遅れました。でも3日って金曜日でその日は授業があるし、前もって知っていても私は買わなかったかな。この前のドレミ團を見るために授業をさぼっちゃったし。この時のライブはまやさん脱退で二度と見れないと思ったから行ったけど、人格ワンマンはまたやってくれるでしょうから次の機会まで待ちます。年明けにでも、都内でワンマン希望です。

最近またちょっと勉強モードになっていまして、大学図書館の中で資料を集めたりしています。大学図書館といえばついこの前から面白い展示が開催されていまして、一応ご案内。図書館内でのこじんまりした企画なのでわざわざ出かけてみるほどのものじゃないかもしれませんが、幸い私はよく通る場所なので頻繁に覗いています。土肥慶蔵の医学関係資料とその時代という企画で、Webはこちら。電子展示もありますのでアクセスしてみてはいかがでしょうか。鶚軒文庫って初めて知ったのですが面白そうですね。博物学やらに燃えていた昔の血が騒ぎます。本当はこの企画を紹介するかどうか迷ったのですが(身元ばれちゃうし)、でもどうせ来年学業サイト作るしそこには所属を書くつもりだったから、まあいいか。展示は24日までです。

 

 

 

 

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