10月1日

三浦しをん『月魚』を読みました。以前から気にはなっていたのだけど、結局借りそびれていたという本です。それが文庫化されてしかも図書館に入っているのを見つけたので、文庫なら持ち歩けるしということで借りてみました。読んだ感想ですが、愛書家の心をくすぐる設定は結構好みでした。『無窮堂』とか幻の本とかね、あとは本の買い取りの話しとかそういうのは結構好み。ただ主人公二人の間のどうにもボーイズラブ的な雰囲気が私はかなりダメでした。基本的に私はボーイズラブが苦手。やるなら竹宮恵子くらい徹底的にか森茉莉くらい耽美であればそれはそれでよし。でもこのライトノベルスなノリのボーイズラブはどうにも苦手だわ。しかも最初の古本屋の描写は読んでいるとどうしても『姑獲鳥の夏』の最初の部分を思い出してしまう。世界観はわりといいと思うのだけど、ちょっと私が求めているものとは違う小説かなと読み終わってから思いました。


10月2日

本屋に出かけてたっぷり漫画や雑誌を買い込み、家に帰ってきてから読みふけっていました。しあわせ。感想は少しずつ書いていきます。最初に鳩山郁子さんの新刊『ミカセ』を読みました。私に少年世界というものを教えてくれた長野まゆみさんの小説は変質してしまって私はもう読まなくなったけど、鳩山さんの作品は今でも変わらずまばゆいです。細部に至るまで、完璧な少年世界。画面を構成する風景も小物も少年も、すべて選び抜かれたものばかり。センスがいいとかそういう問題ではなく、強固なまでに確立された世界の存在を感じることができる。「アネモネと風速計」「インスレーター・トゥリー・ストーリー」がとりわけ好きです。長らく絶版になっていた『スパングル』の改訂版も出版されたようですね。私は最初に発行された方の本を持っています。買ったのはまだネットをやっていなかった頃で、かなり苦労して探したことをよく覚えています。古びてぼろぼろになった青い『スパングル』にも愛着はありますが、書店で見かけた純白の表紙や鴨沢祐仁さんの帯の言葉が素敵だったので、そのうち改訂版も購入するつもりです。


10月4日

雨の日曜日は志方あきこさんのファーストライブ「Navigatoria 航海を導く星 act-4」へ行ってきました。私が最近行っていたのはドラムガンガンエレギビンビンなライブばかりだったので、アコーディオンの優しい音色や掌で叩かれるパーカッションの体温を感じる音がとても新鮮で、そして心地よく思えました。志方さんの生の歌声は本当に素晴らしかったです。歌声ばかりではなく楽曲の繊細なメロディーやアレンジもすべて自らの手で創られていて、本当に才能に溢れた方だというのが伝わってきました。ファーストライブということもあって段取りの悪さやステージパフォーマンスのこなれてなさ、そしてMCは改善の余地ありとは思いましたが、こういうものは場数をこなすうちに自然とよくなっていくものなのでしょう。後ろまでびっちり人の詰まったアストロホールで最後に聴いた「古」は忘れられません。また機会があれば、ぜひライブに行きたいです。ただスタンディングはかなりつらかったです。入場から終演まで4時間近く手拍子を打つ程度のノリでスタンディングは正直きつい。暴れるライブならスタンディングでもさほど気にならないのですけどね、じっくり聴くタイプのライブは座っていた方が音の世界を楽しめるような気がします。

佐々木良一著『インターネットセキュリティ入門』をざっと読みました。いまだに勉強モードになれない私。いい加減スイッチを切り替えたい…。


10月5日

合宿準備と学校に通うのでいっぱいいっぱいです。おかげで日記も作りかけコンテンツも放置状態。たくさんのことをさらさらっとこなせる余裕のある人になりたいものです。そういえば今太平洋戦争のことを調べているのですが、資料を読む時のBGMはホタルの「歌謡サスペンス激情」なことが多いです。「怪人二十面相」で気分を盛り上げ、「二二六」でトドメ。「天皇陛下万歳」という声を聴きながら読む資料は何やら生々しく感じます(「二二六」はタイトルの通り2・26事件をモチーフにしていて太平洋戦争ではないですが、そのあたりの誤差を気にしてはいけません)。それにしてもこういうCDの聴き方は何か間違っているような…。このホタルですが、ベースが脱退で活動停止だとか。11月のワンマン、せっかくだから行こうかな。今日は戦争資料を求めて大学図書館の書庫にまで入り込んだのですが、この黴臭くて薄暗い書庫、かなり好きです。きれいな図書館の裏の世界という感じ。埋もれて埃にまみれた一次資料の山。書庫は真っ暗で、人が入るとセンサーでぽつりと明かりがつくのです。ここでなら白骨死体になってもいいなと歩き回りながら思いました。

久世光彦『蝶とヒットラー』(ハルキ文庫)を再読。近々自鳴琴嬉遊館ことオルゴールの小さな博物館に出かける予定です。


10月7日

ただ今修羅場中です。むちゃくちゃ忙しい…。メールを何通かいただいていて合宿前に返信しようと思ったのですが、時間的に無理なので東京に戻ってきてからお返事を書くことになってしまいます。返信が遅くなって申し訳ないです。映像資料を使えないかなと昨日は寝る時間を削って太平洋戦争時代のドキュメントを流し見ていました。私はどこの軍事ヲタさという感じでどんどん詳しくなっていく…。もちろんにわか勉強なので有名どころしかわかりませんが、それでも司令長官の名前を出されて「ああ××戦のあの人ね」とか思ってしまう自分が怖い。数日前までは太平洋戦争のことほとんど知らなかったのに。今回調べているのは自分の専門とは関係のない用件なのですが、こうして知識を得てみると戦前から戦後にかけての日本史の知識は自分の研究する時代背景として大いに役立つことを実感しました。調べる機会があってラッキーだったかもしれません。そういえば昨日の映像はひたすら軍事資料でどのような戦闘が行われたのかが延々映し出されたのですが、日本海軍戦艦の名前を聞くといちいちエヴァのキャラの顔が浮かび上がってきて昔のエヴァ熱を思い出して妙に懐かしくなりました。それにしても合宿が近いのに、そのための買い出しにすら行けなさそうなこの予定は何?明日は這ってでも買い出しに行かないといくら資料の準備をしても合宿に行けません。


10月11日

先ほど合宿から帰ってきました。なんだかもう…という感じです。そもそも合宿場所は台風の最中の河口湖。発表準備のためにほぼ徹夜で出発し、さらに夜のコンパでは連日夜中の3時近くまで飲んでいるという無茶苦茶なことをやっていました。私は基本的にお酒は強い方なのですが、あまりに睡眠時間が短くて何か限界を超えたのか、信じられないほどのお酒を飲みそれでも酔わないというすさまじい状態に陥っていました。普段だったらさすがにあそこまでは飲めない…。ビールじゃ度数が低くて飲み足りないから日本酒を飲み出したのに、それですら顔色が変わらなかった自分が怖かったです。最初はしおらしく周りの男の子に注いでいたのに、気がついたら注がれる人になっていて男性諸君がもう飲めないというボトルを片付けていました。アイタタタ…。この合宿は発表の内容がというよりは、合宿に参加するという経験がいい勉強になったかなと思いました。合宿の本質に関わるような話しはあえて日記には書きませんが、一つだけ印象に残ったことを。この合宿では研究生(その大半は就職を希望する学部生)と院生の間にある思考というか方向性の違いを非常に感じました。そして自分が後者に入るタイプなのだということも自覚することができました。研究生をやっていてほんのり感じていた居心地の悪さの原因がなんとなくわかったような気がします。

実は今日はこれから新居昭乃さんのライブに出かけてきます。このライブが終わって、10月の死にそうなスケジュールはとりあえず一段落します。今はギンギラギンですが明日からはさすがにそのテンションも切れ、睡眠不足と疲労によるグダグダ状態になっていると思います。それが回復次第メールのお返事を書いていくつもりです。とりあえず自分に対して「お疲れさま」と言いたいです。


10月12日

新居昭乃 LIVE 2004「エデンにて」追加公演に行ってきました。大変よいライブでした。私が昭乃さんのライブを見たのは「RGB」発売の時が初めてで、しかもその時一回のみです。RGBの時は昭乃さんの生の歌声を聴くことができて楽しかった反面、迫力がないというかとにかく声が出ていない印象が強くてあまりライブ向きなタイプじゃないのかなと内心思っていました。ですので今回のライブも歌声という点では期待せずに出かけたのですが、驚いたことにRGBの時とは比べ物にならないほど声が出ていて、素晴らしい歌と歌声を披露してくれて本当に行ってよかったと心から思えたライブでした。ニューアルバム「エデン」メインのセットリストでしたが、それ以外の選曲も非常によくて聴きたかった曲がたくさん歌われてうれしかったです。今回ライブに参加して思ったのですが、昭乃さんはライブで昔の曲を歌う場合音源とアレンジを変えて、というより解体して新たに組み立てているというほどテイストを変えることがあります。それがまた素晴らしいので、本当にもっと頻繁にライブをしてくれたらいいのに…と思わずにはいられません。ライブレポとまではいきませんが、曲を聴いた感想などは後日こちらにアップしますので、今日はとりあえずセットリストだけ書いておきます。スケジュール的にはギリギリで私もギリギリな状態で出かけたライブでしたが、無理をしてでも行ってよかったです。

1.Roundabout Drive 2.New World 3.虹色の惑星 4.夜気 5.懐かしい宇宙  6.バニラ 7.Trance Transistor Table Radio 8.N.Y. 9.VOICES 10.Little Wing 11.美しい星  12.WANNA BE AN ANGEL 13.Reve 14.鉱石ラジオ 15.パンジー 16.ガレキの楽園 17.神様の午後 18.砂の岸辺  アンコール 1. きれいな感情 2.Tune 3.at EDEN(新曲)


10月14日

合宿が終わったのでもう少し余裕のある生活ができるかと思ったのですが、そんなことは全然なくてまともにネットをしている時間がないほど忙しい毎日です。まあこれも合宿前の雑用やらを全部後回しにしていてそれの処理に追われているということで、少ししたら落ち着くのではないかと。

トップページですが、ずっと更新していないコンテンツの最終更新日を消しました。というのも日付がそろそろ紛らわしくなってきたから…。それはつまり丸一年更新していなかったということですね、あはは。現在サイト内がガタガタで、また日記もろくすっぽ内容がない薄いものしか書けなくて非常に申し訳ないなと思っています。早く通常営業に戻りたい。サイトのことと言えばお知らせを一つ。まだ先の話しになってしまいますが、今年の終わりから来年のはじめにかけて、コンテンツを整理しつつサイトを再構築する計画を立てています。そして、きれいに片付いた段階でサイトの引っ越しも予定しています。サイトの引っ越しは以前から実行したかったのですが(現在のODNにはいろいろ不満があるので)、まだこちらに移ってきて日が浅いということもあり、あまり短期間に何度も移転させたくなかったのでひたすら待っていました。でも一年以上経ったのでもう大丈夫だろうということで、ドメインを取って引っ越しの具体的な計画のことを考えるようになりました。ドメインを取ったので、今回が最後の引っ越しになる…はず。サイトを再構築といっても昔のコンテンツをバッサリ捨てるのではなく、ソースを修正しながら残していくつもりです。長年ちまちま作ってきたものだから、稚拙さや未熟さが目についてもやっぱり捨てきれないのですよね。膨大な地層を形成している過去のファイルは、私の大切な記録です。

今日はなんだか告知のような日記になってしまいました。明日は以前まとめ買いした漫画や雑誌のことを書いていきたいと思っています。木曜日は朝イチから学校でお昼のみちょっと家に帰ってきて、それからまた夜までずっと学校という一番ハードな日です。今は研究生の授業ばかりではなく来年入る院のゼミにも参加させてもらっているので、いい勉強になっています。


10月15日

やっと一週間が終わった…。疲れました。週末はのんびりしたいですねえ。でも明日は図書館へ行かなければならないから、実質遊べるのは日曜だけ。体力が残っていれば神代植物公園へ出かけたいと思っています。光原弟平著『思想家たちの友情 アドルノとベンヤミン』(白水社)を読みました。ちょっと内容が散漫ですが、友情を切り口にする視点は面白いなと思いました。全然関係ない話しですが、最近ジェーンマープルのお洋服が好きです。定価だと高いので古着で買っていたりするのですが、結構気に入ってます。ジェーンの懐中時計と王冠モチーフのついたかわいいラリエットも買いました。これは前にエミキュで買った白いブラウスに合わせてつけようかな。ロリには興味がないけれど、少しデコラティブで形の面白いお洋服を着るのは楽しいなと思う今日この頃です。ジェーンマープルの少女世界はとても好きです。これから少しずつアイテムが増えていきそう。

 

 

 

 

back -- index -- next