☆ アストロ通信2 商品案内 ☆
前回の流星密造通信、お楽しみいただけたでしょうか?フラスコ宇宙、透明な小さなフラスコの奥にはなんと広大な宇宙が広がっていることでしょう。当社はガラス物質の研究に非常に力を入れております。ガラスというのは大変不思議な物質でございます。ガラスの表面的な振舞いに騙されてはいけません。すべての秘密は夜、人々が眠り、原子が目覚めてささやく時間にようやく姿を現わすのです。当社の動力源は「夜」でございます。「夜とは何か?」、こう書くといささか哲学めいてきますが、そんなことは求めておりません。「夜」という物質が放出する濃密な気配、その気配の中でしか生きることのできない人々が当社の研究員として集まってまいります。夜にだけ動く歯車、アストロ・アステロイド。当社は夜の奥にしか存在していないのです。そして今夜も星影を求め、ゆっくり彷徨っていくのです。夜の中で見るプラネタリウム、それは昼の時間よりもなんと魅力的でしょう。夜の中のさらなる幻影、星空の広がる中、天球に映し出されるまやかしの星々。夜のプラネタリウムに漂う微粒子を一度吸い込んだ人間は、もはや夜の世界の住人としてしか生きていくことはできません。だけど夜の世界も楽しいではありませんか。白銅貨のような月が浮かび、夜空は群青から紺青への青色標本グラデーション。こんな夜空を見上げながら、流星のかけらを拾い集めてペイヴメントを歩きましょう。
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◆◆◆紫水晶硝子体◆◆◆
アストロカタログ・商品番号1番。当社の独自の製法により、ソーダ石灰ガラスとアメシスト(紫水晶)をブレンドしたもの。濃度により粘性が異なるものの、基本的な性質は変わらない。この物質は液体として存在する。紫水晶硝子体の基本成分にさらにシリカガラスを加えたものは、流星物質を非常によく溶かし込む溶媒として重宝される。このため、星分分析には欠かせないものである。紫水晶硝子体を15K程度の低温に長時間放置しておくと、非晶質状態のまま結晶が沈澱することがまれにある。しかしこの物質は潮解しやすいため、大変保存が難しい。薬さじに乗せてガスバーナーであぶると非常に美しい青い焔を出すため、好事家の間では高い値段で取り引きされている。この青い焔は「ミッドナイト・アズライト」と呼ばれている。藍銅鉱のような非常に深みのある青い焔が名前の由来となっている。
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◆◆◆青鉛ガラス◆◆◆
アストロカタログ・商品番号2番。 液体状の青色硝子。色は硫酸銅水溶液に似ている。放置しておくと銀河物質を吸収して変質してしまい、取り扱いが難しい。保存する時に微量の砕いた天河石を壜の蓋に擦り込んでおくのが変性させずに保存するコツである。内部で自然対流を生じるので、観察すると液体中に渦巻きを見つけることができる。大量の銀河物質を吸収すると銀色の微粒子が液体中に発生し、沈澱していく。その光景が流星雨のように見えるため、銀星ダストと呼ばれている。非常にまれに音を伴いつつ沈澱するが、この現象を観察するのは難しい。現在研究が進められているが、どのような条件で音が発生するかは今だ未解明である。モナドの囁きとも呼ばれるこの現象の解明にはまだ時間がかかりそうである。
・★・アストロ・アステロイド研究所・★・
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